ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

鈍足ネットと快足動物

丹後の我が村は,まだ3G。それもチョー遅い鈍足。ツイッターに接続してから畑に行って,ひと仕事して帰ってくると,やっと画面が出ているときすらある。有線なら速いのだろうが,面倒なので,我慢している。

これに反比例して,村の野生動物は快足,敏速ぞろい。防御の網や柵などものともしない。好物のサツマイモやトウモロコシなどは,一晩で全滅。

140914a ■全滅のサツマイモ畑

山や耕作放棄田畑にエサが無いわけではない。かつては山の木1本の所有をめぐり泥沼の境界争いさえ珍しくなかったというのに,いまでは山に入る人はほとんどいない。山林の正確な境界など,誰にもわかりはしない。山野は自然に戻り,エサも豊富。それなのに,野生動物もグルメになり,耕作田畑の野菜や果物を狙う。

自宅から数分の山裾にいつの日か野生栗の木が生え,いまや大木となった。以前なら子供たちが競って拾い,食べたものだ。野生栗は栽培栗より小さいが,はるかに美味しい。

ところが,いまでは拾う人もいない。そこに大きな足跡。おそらくクマであろう(イノシシかもしれない)。栗の木の下は,クマの格好の餌場となっているのだ。

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 ■豊作の栗/一面に落下したイガ/クマ(イノシシ?)の足跡

この近くに富有柿の木があるが,これも,クマかサルが登って食べたらしい。上方の枝が折られていた。ネットの自由と動物の自由は反比例する。

140914b ■折られた富有柿の枝

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/09/14 at 13:27

カテゴリー: 社会, 自然, 情報 IT

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反文化的・反公共的な文化公共施設

ほんの数日の滞在にすぎないが,高知でも,自然破壊が目につく。たとえば四万十市は,四万十川の清流を売りにしているが,川沿いの市街や護岸・橋梁・道路等は殺風景だし,高知市の土佐湾沿いの,かつては白砂青松の長く美しかったであろう海岸も,堤防と道路で台無しだ。

140913e ■川海苔栽培。四万十川自体は美しい。(2014-9-9)

特に嘆かわしいのが,ここでも文化公共施設による景観破壊。たとえば国民宿舎は,たいてい眺望の最もよい高所にそびえ立っている。なるほど国民宿舎からは周囲の絶景が堪能できるだろうが,自然景観の方は,どこからでも目に入る派手な建物により無残に破壊されてしまう。国民宿舎の多くは,ジコチュウであり,見られることにまで思いが至らない。見るが見られないと錯覚している。自己破壊的といってよい。

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 ■桂浜より国民宿舎桂浜荘(同左HP)/横浪公園内の国民宿舎土佐(同左HP)

なかでも,高知で度肝を抜かれたのが,坂本龍馬記念館。龍馬ゆかりの桂浜の岬の丘の上,古城跡にある。建物は,ケバケバしい色,無機質な直線的デザインで稚拙,およそ文化的とはいえない。桂浜一帯の伝統的自然景観を著しく害している。

このような奇妙奇天烈な反文化的建物を,風光明媚な歴史的景勝地に,なぜ建てたのか? まったくもって不可解。龍馬も当惑しているにちがいない。

140913c ■龍馬記念館(同左HP)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/09/13 at 11:34

カテゴリー: 文化, 旅行

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朝日の変調と変節

高級紙・朝日新聞は,育ちがよく,修羅場経験が少なく,危機管理が出来ていないらしい。誤報はジャーナリズムにつきものなのに,従軍慰安婦記事,原発事故吉田調書記事など,疑問が出された自社記事の検証,訂正,謝罪が中途半端で,後手,後手,見るも無惨な有様だ。

朝日変調の兆しは,かなり前から見られた。共通するのは,売らんかな,の軽薄なセンセーショナリズムだ。たとえば,
 ▼血液型政治家判断、朝日の本性
  血液型性格判断,朝日はB型
  天声人語の血液型性格論
  血液型優生学を粉砕せよ
  朝日の血液型優生学
  カースト差別より危険な血液型差別
 ▼朝日と佐野氏の優生思想:「ハシシタ 奴の本性」の危険性 [注]ハシシタ関連記事は「週刊朝日」
  肉体文学としての「ハシシタ 奴の本性」 
  ゴシップで売る朝日と佐野眞一氏の名前
  佐野氏の執筆責任放棄と朝日の表紙かくし

 ■本性丸出しの週刊誌表紙

また,変節と断罪せざるをえないのは,「社説21」(2007年5月)とそれ以降の一連の自衛隊海外派兵翼賛記事。
 ▼海外派兵を煽る朝日社説
  良心的兵役拒否国家から地球貢献国家へ:朝日の変節
  集団的自衛権: 9条のたが外し,先鞭は朝日
  朝日社説の陸自スーダン派兵論
  スーダン派兵で権益確保:朝日社説の含意
  南スーダン陸自交戦寸前,朝日記事の危険な含意
  自衛艦をソマリア沖に派遣せよ,朝日社説

朝日新聞は,これらの変調・変節などを除けば良識的ジャーナリズムであり,その存在は日本にとって貴重だ。朝日が読者離れで経営危機に陥り破産しても,独立派の良識的言論は毎日新聞が継承するであろうが,たとえそうであっても全国紙一社ではあまりにも心許ない。

朝日には,誤報はきちんと紙面で検証,訂正,謝罪する覚悟を固めた上で,「常識」と「良識」を堅持し,勇気を持って真実に切り込んでいただきたいと願っている。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/09/12 at 12:11

カテゴリー: 文化

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時が人をつくり,人が時をつくる

高知に行っていた。滞在先のホテルの周辺を散策していると,日本近代化に大きな足跡を残した人々の生誕地が多数あるのに気づいた。坂本龍馬,植木枝盛,馬場辰猪,板垣退助,後藤象二郎,片岡健吉の生家は,それぞれ徒歩数分から10分くらい。中江兆民はちょっと離れているが,それでも徒歩15分くらいにすぎない。山内家の城下町とはいえ,これは驚くべきことだ。

政治的な地位や名声だけなら激動期でありチャンスもあろうが,中江兆民や植木枝盛のような一流の思想家や理論家が,いわば隣近所の生まれというのは驚きだ。やはり幕末維新という時代と土佐という土地柄(周縁性)が,彼らのような優れた思想家・理論家を生み出したのだろう。

土佐の自由民権思想がどのように継承されたかは,専門外で詳らかではないが,しかし,たとえば戦後日本における新憲法受容の土壌のかなりの部分がそれにより培われていたことは間違いあるまい。時がつくった人が,時をつくるのだ。

140911
■生誕地:A=植木枝盛,B=坂本龍馬,C=馬場辰猪,D=板垣退助,E=中江兆民

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/09/11 at 19:44

街の没個性化

高知に来ている。初めて。南国なので街も南国風かと思っていたが,実際にはそうでもなかった。ちょっと見た限りでは,他の街と何ら変わりはない。

市街の没個性化は,どこでも進んでいる。カトマンズでも,前近代的な旧市街は破壊され,「機能的」な道路やビルに置き換えられつつある。そのようなところでは,カトマンズも,ここ高知や大阪や他のどの都市とも外見的には大差はない。

近代化は合理化であり,合理化は没個性化・脱文化化である。どこにいっても変わり映えしない街の風景を見るたびに,文化的貧困化の業を歎ぜざるを得ない。

140903 ■高知駅(JR四国HP)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/09/03 at 14:25

カテゴリー: 経済, 文化, 旅行

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制憲議会選挙(40):17議席指名

コイララ内閣が8月29日,暫定憲法第63条3(C)により,内閣指名26議席のうちの17議席17名を指名した。コングレス党(NC)8,統一共産党(CPN-UML)8,国民民主党(RPP)1。しかし,この指名には,問題が少なくない。

140830 ■コイララ首相

第一に,最も根本的な問題は,第二次制憲議会開会(1月22日)から7か月も経過していること。新憲法案が来年早々にも提案され成立するなら,憲法規定の指名26議員は憲法審議の半分以上に参加できなかったことになる。

指名26議員ぬきの議会には正統性がなく,したがって新憲法にも厳密には正統性はない。この問題は,党派対立が激化すれば,まちがいなく持ち出され,最高裁への提訴や,反政府運動のスローガンとされるだろう。

第二に,指名議席は26なのに,マオイスト(UCPN-M)やマデシ諸党の反対のため,NC,UML,RPPの3党推薦分しか指名できなかった。全議席が指名できなければ,制憲議会の正統性への懐疑は,むしろ深まるであろう。

第三に,指名には,相変わらずコネが強く働いた。NCは,当初,最高裁命令(5月12日)を無視して11月選挙落選者を候補として提出し,あとで撤回するという醜態を演じた。また,デウバら党内有力者も,人選が不公平だと非難している。

UMLは,ポカレル書記長の妻を党推薦し指名された。党内では,MK.ネパールらが,やはり不公平だと非難している。RPPのカマル・タパ議長は,弟を党推薦し指名された。彼は,汚職疑惑で調査されており,この情実推薦指名にも批判は強い。

このように見てくると,新憲法が本当に出来るのか,また,たとえ出来たとしても,それがどこまで正統性を持ちうるか,はなはだ心許ないと言わざるをえないだろう。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/08/30 at 20:09

モディ首相,安倍首相に日本語でツイート

モディ首相が,8月30日から日本を公式訪問する。モディ首相は,日本と安倍首相を重視し,ブータン,ネパールの次の訪問国を日本とした。先に訪問したブータンとネパールはいわば身内なので,本格的な域外の国への訪問は日本が最初となる。

140828 ■モディ首相ファイスブック

モディ首相はサービス精神旺盛だ。それは訪ネのときいかんなく発揮されたが,今回の訪日でもそうらしい。(参照:ネパール毛派称賛の目算,モディ首相演説

たとえば,ツイッターを見よ。モディ首相は,はやくも,なんと日本語でツイートし,日本と安倍首相を手放しで褒めちぎっている。むろん,安倍首相がモディ首相のツイッターをフォローしていることはいまや世界周知の事実であり,それが分かったうえでのことだ。神々の超大国インドの首相に,こんなに褒められると,極東の小国はうれしさで舞い上がり,首相から一少国民に至るまで一億火の玉となって感涙にむせぶだろう。

140828b ■安倍首相ツイッター(右下=モディ首相)

しかし,このモディ首相訪日が,リアルポリティックスにおいてどのような意味を持つかは,いまのところまだ何とも言いがたい。

インドは,とにかく神々の超大国,スケールが途方もなくでかい。だから記事もやたら長くて雄弁だ。どれもこれもネパールの記事の10倍以上はある。とても読み切れない。これから頑張って,もしいくつか読むことができたなら,後日,ご紹介することにしたい。

--[モディ首相ツイッター]---------------
140805b @narendramodi  
Modi 私は8月30日から日本を訪問する。印日関係を強化するこの訪問を、とても楽しみにしている。
Modi この訪日は、私にとって、インド亜大陸外で初めての二国間訪問となる。当初は7月初旬を予定していたが、議会の都合で不可能になった。
Modi 私はこの訪日を、日本との関係を新たなレベルへと高め、様々な分野における協力を増進する機会と見ている。
Modi 東京と京都を訪ね、学生、政治指導者、企業幹部など、日本社会のあらゆる層の人々と交流する。
Modi 州首相時代に日本を訪問したが、とても温かい思い出だ。もてなしの心と、協力の幅広い可能性が、深く印象に残った。
Modi 日本人の持つイノベーションの規模と高い精密性は賞賛に値する。印日両国は互いから多くを学ぶことができる。
Modi 私が特に心待ちにしているのは、安倍首相にお会いすることだ。私は彼のリーダーシップを深く尊敬しており、これまでの面会を通じて温かな関係を享受している。
Modi 日本のインドとの友情は時の試練を経てなお続いている。われわれ二国は、世界の平和と繁栄の推進に傾倒する、活気に満ちた民主主義国家である。
Modi Friends from Japan asked me to talk to the people of Japan directly in Japanese. I also thank them for helping with the translation. [上掲の安倍首相リツイートは,この部分]
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谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/08/28 at 18:39

カテゴリー: インド, 外交, 中国

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