ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

Pesticide-free Veg: 無農薬の夢と現実

無農薬野菜は理想だが,現実は,この有様。私は,このような白菜を,時には青虫とともに食べているが,市場では,こんな白菜は絶対に売れない。

スーパーに並ぶ安くて見栄えの良い野菜は,いわゆる「害虫」や「雑草」や病気に強いいくつかの例外を除けば,おそらくすべて農薬まみれであろう(出荷時には残留「許容範囲内」と説明されてはいるが)。都市消費者は,カネを出すのも,青虫や虫食いもイヤなのだから,仕方ない。自業自得。

いまや,自家栽培者と無農薬栽培経費を負担できる人だけが,自然野菜を食べる特権を享受している。

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谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/10/23 at 11:17

カテゴリー: 経済, 自然

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京都の米軍基地(57):レーダー極秘搬入

米軍が21日未明,極秘裏に,Xバンドレーダー本体を経ケ岬米軍基地に搬入した。時間,経路とも一般には全く知らされなかった。軍事秘密だから,当然だろう。軍機とはそういうものだ。
 [参照]TBS News-i, 米軍「Xバンドレーダー」、京都・京丹後の通信所に搬入

ところが,われらが京都新聞は21日朝刊で,早々と搬入経路と時間を,ほぼ正確に報道した。レーダーはトレーラーに載せられ,20日夜,空自小松基地を出発し,陸路を通り,21日早朝経ケ岬に着く,と(同紙1面)。

むろん,陸路を,多数の警官を動員して警戒させ,パトカー先導で,信号を全部青に変えさせ,運搬するのだから,米軍から防衛省,防衛省から京都府や京丹後市に事前通告(17日午後)があったのは,当然だ。が,防衛省は米軍の御用聞き,京都府はその孫御用聞き,京丹後市はそのまた曽孫御用聞きだから,大親分の命令「保安上の理由により,装備の移動方法や予定日時を公表することはできない」(米軍報道官,京都新聞21日)に背くことなど,できはしない。お説ごもっとも,ハチ公以上の忠実さ。

では,京都新聞は,この極秘情報を,いつ,どのようにして入手したのか? レーダー到着は「21日午前4時半ごろ」(京都新聞22日)だから,それ以前に府や市が搬入を公表したとは考えにくい。とすれば,京都新聞は,小松基地出発か経路途中で運搬情報をつかんだか,あるいは府か市から情報リークを受け,21日朝刊で報道したに違いない。もしそうなら,さすが反骨京都新聞,エライ!

が,もし仮にそうなら,この報道は「特定秘密」か「特別秘密」か「防衛秘密」の暴露に当たるのではないか?

あるいは,さらに深刻なことに,これは一般住民自身とも無関係ではありえない。警官厳重警戒の中をパトカー先導で大名行列すれば,だれでも気づく。ましてや丹後の村々は道の狭いところも少なくないから,文字通り軒先,いや枕元を,武装集団護衛の巨大武器が通行したのだ。気付いて当然。そして,もし気づいた人が,“あれは何だ” と不審に思い,ツイッターやフェイスブックで,見聞きしたことを世界中にばら撒いたらどうなるか? 下手をすると,軍事機密に関する何らかの法令違反の嫌疑で取り調べを受けることになるかもしれない。

まさか,この現代日本で,そのようなことはあるまい,とたいていの人は思うであろう。たしかに実際には,Xバンドレーダー関係の報道をしても,あるいは写真を撮ってツイートしても,よほどのことがなければ,取り調べを受けたり逮捕されたりすることは,ただちには無いであろう。

が,「まさか」や「よほどのこと」や「ただちに」は,その恐れがあると,うすうす感じていることに他ならない。そして,権力側には,そう感じさせれば,それで十分なのだ。

Xバンドレーダーは,秘密の塊。武装した米兵や,兵隊より怖い軍属(民間戦争会社職員)により厳重警戒されている。「住民の安全・安心」のために増派される警官が,銃口や警棒を住民の方に向け,やはり厳重警戒につく。Xバンドレーダーは,タブー中のタブーなのだ。

タブーは,さわれば祟りがある。少々近づいても,「よほどのこと」がなければ,「まさか」「ただちに」撃ち殺されることはあるまいが,その恐れがまったく無いということではないし,取り調べや逮捕の恐れであれば,もっともっと現実的なものとして確かに存在する。

このXバンドレーダーの威嚇効果は絶大であり,住民は「安全・安心」を考えるなら,タブーについては「見ざる,聞かざる,言わざる」の自己規制に向かう。当然のことだ。

最後に,中山市長のお言葉を拝聴しよう。文中の「住民」を「米軍」と置き換えて読むと,お言葉の真意がよく判る。

防衛省から17日の午後,搬入期日の情報提供があったが,住民の安全を確保,保全する観点から公表は控えていた。」(京都新聞10月22日,赤色=引用者)

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 ■京都新聞:上左から21日1面,22日社会面,22日1面

【参考資料】中山京丹後市長のコメント 26.10.21(京丹後市HP)
 本日、8時前に防衛省から、経ケ岬通信所へのレーダー本体機材の搬入が完了した旨連絡を受けました。
 引き続き、工事施工において、通学・通勤などの安全をはじめ各般の安全確保・不安解消の対策に万全を尽くし、万一にも不測の事故等のないよう万般の配慮と施工上の管理をお願いする。併せて、改めて、万般にわたる住民の皆さんの安全・安心の確保の引き続きの確実な履行を重ねて要請する。
 (なお、防衛省からは17日の午後、搬入期日についての情報提供がありましたが、京丹後市長としてこれまで申し上げていますとおり、搬入のための輸送過程を含め住民の安全を確保、保全する観点から、当該情報の公表は控えさしていただいておりましたので、ご理解をよろしくお願いいたします。)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/10/22 at 12:29

憲法骨格案も課題一覧も作成できず,CPDCC

「憲法に関する政治的対話と合意形成委員会(CPDCC)」(バブラム・バタライ議長=UCPN)は,憲法骨格案を10月16日までに,それができない場合は,投票用課題一覧を17日までに,制憲議会に提出することになっていたが,なんと驚くなかれ,バブラムCPDCC議長は,そのいずれもしなかった,いやできなかった。ネパールでは,紛糾すればするほど,合意形成機関の名前が長~くなり,合意形成期間も長~くなる。(参照:憲法基本合意,また延期

141021 ■バブラム・バラライTwitter

バブラムCPDCC議長は,議会への答申の代わりに,最後の「最後の話し合い」を求め,その結果,今日10月21日と明日22日に,それが行われることになった。コイララ首相と主要3党代表の出席が要請されている。

一方,制憲議会「憲法起草委員会」のクリシュナ・シタウラ議長(NC)は,憲法起草には最低1か月はかかるので,憲法骨格案の答申が11月1日までになければ,1月22日の憲法制定・公布には間に合わない,と警告している。

10月21~22日の最後の「最後の話し合い」がどうなるか予断を許さないが,現在のところ,CPDCC答申が11月1日までまたまた延期される可能性が高い。

それでも答申がない場合はどうするか? NCとUMLは,連邦制,政府形態,司法,選挙制度など,意見の分かれる部分については議会での投票採決を主張している。議会多数を制しているから,当然といえよう。

これに対し,マオイスト(UCPN-M)を中心とする22党連合は,「12項目合意(2005)」などを引き合いに出し猛反対,投票に持ち込めば,街頭に出て実力阻止を図る構えだ。

この点については,すでに指摘したように,合意形成も投票採決も実際には困難な状況だ。(参照:憲法基本合意,また延期

そこで再び注目され始めたのが,10月8日復活した立憲政府の上の政治的「政府」たる「高次政治委員会(HLPC)」(プラチャンダ議長=UCPN)。議会内の正規手続きでは決着をみなければ,結局,議会外の主要諸勢力の手打ちで政治的打開を図る。豪傑プラチャンダならやれそうな気もするが,たとえ成功しても,それは一時的で,民族アイデンティティ政治をいつまでも封じ込めるのは無理だろう。

結局,憲法制定・公布をまたまた延期し現状維持を策すのが,最も現実的な解決策ということになりかねない。厄介なことだ。

* Cf. Kathmandu Post & Nepalnews.com,19 Oct; Ekantipur & Republica,20 Oct.

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/10/21 at 11:34

制憲議会選挙(41):マオイスト推薦4議員,内閣指名

コイララ内閣が10月16日,マオイスト(UCPN-M)が14日推薦した4名を制憲議会議員に指名した。が,制憲議会選挙は,まだ終わってはいない!

現行暫定憲法によれば,制憲議会の内閣指名議席数は26。このうち指名済みは,今回を含め,NC8(割り当て9),CPN-UML8,UCPN-M4,RPP-N1の計21議席のみ。まだ5議席が未指名のままだ。

たしかに定数601の巨大議会において,未指名5議席は大勢にたいした影響はないだろう。が,問題は数ではなく原理原則。

私自身は内閣指名といった不透明な選出方法には反対だが,それはそれとして,現行憲法には,議会は小選挙区制,比例制,内閣指名制の3方法により選出した議員をもって構成されると明記されている。それなのに議会は,自らの依ってたつ法的根拠を自らないがしろにしている。

この重大な原理原則違反が,なぜネパールでは真剣に問われないのか? 不思議だ。

 ■制憲議会(同HP)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/10/17 at 12:11

カテゴリー: 選挙, 議会, 憲法

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「実」より「名」,プラチャンダの連邦制提案

マオイストのプラチャンダ議長が10月15日,民族名結合の州名とするのであれば,10州以下の連邦制でもよい,と語った(Republica,15 Oct)。2013年11月の制憲議会選挙では,マオイストは12州を提案していた。

141015 ■マオイスト12州案(प्रतिबद्धता पत्र)

連邦制は,いうまでもなく新憲法制定への最大の懸案の一つ。連邦を構成する州の数が少なければ,州区画が大きくなり,民族/カーストごとの州をつくれず,相対的多数派の民族/カーストの力が大きくなる。州名も多数派民族/カーストの名前か,民族/カーストとは無関係の,たとえばコングレス提案の「東州」とか「西州」といった民族/カースト中立州名になるであろう。この場合,前者はいうまでもなく,後者であっても,現実政治においては多数派民族/カーストが実際にはヘゲモニーを握ることになる。

世間では,名前など符号にすぎないとか,「名」より「実」だなどいわれることも少なくないが,実際には「名」が「実」を左右する。夫婦同一姓強制への固執がそうだし,会社合併で「三菱東京UFJ」とか「三井住友」のように旧会社名継承にこだわるのも,「名」が「実」を規定すると信じられているからである。その意味では「名」は「実」より重要だ。

ネパール連邦制の議論において,プラチャンダが,州名を複数の民族/カーストの名を結合したものにするなら,州の数は10以下でもよいと述べ,コングレス党の6~7州案に大きく歩み寄ったのも,とりあえずは「実」を捨てるふりをして「名」を取る作戦だろう。被抑圧諸民族/カーストの権利実現をスローガンとして民主化運動を闘ってきたのだから,彼らのメンツ(名前)だけはつぶさないでやってくださいね,と情に訴える高等作戦。

もともとネパールでは,どの民族/カーストであれ,単独で独自の州をつくることは困難なのだから,結合名の州という提案は少数派民族/カーストにも受け入れられやすいものだ。そして,「名」を取れば,いずれ「実」をも取れるという希望も,少数派民族/カーストはもつことができるであろう。さすが策士,プラチャンダ!

しかし,果たして,それでうまくいくのであろうか? 結合名にするとして,では実際に,民族/カーストの名をどう結合するのか。プラチャンダは「キラト-ルンビニ-コシ州」といった例を出しているが,本当にこの程度で済むのだろうか? 

日本には,「三井住友海上あいおい生命」といった長~い社名や「損保ジャパン日本興亜」といった珍妙な社名があるが,いくら長くても珍妙でも丸く収まっているのであれば,それはそれでよい。

しかし,ネパール連邦制は,もっとはるかにやっかいだ。西洋諸国が焚き付けた民族アイデンティティ政治は,民族/カースト名をいくつ連結してみても,とうてい丸く収まりそうにはない。パンドラの箱を開けたツケは,ここでも地元住民に付け回されることになるのであろう。

[参照]火だるまのバタライ博士: マオイスト14州案

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/10/15 at 20:15

コングレス党の憲法骨格案

コングレス党(NC)が10月11日,憲法骨格案を作成し,「憲法に関する政治的対話と合意形成委員会(Constitutional Political Dialogue and Consensus Committee [CPDCC])」(バブラム・バタライ議長)に提出することになった。分かりにくいところもあるが,要旨は以下の通り(Nepalnews.com & Repuiblica, 11 Oct)。

1.連邦制
(1)6州又は7州。タライは2州に分割。下図参照。
(2)州の名称:州議会において2/3の多数により決定。
(3)州首都:州議会で決定。
(4)州公用語:ネパール語と,州民使用の他の2言語。
(5)州内自治体:州議会が1年以内に区画と名称を決定。区画は民族/カーストを考慮。必要な場合は,特別区を設定。
(6)州議会:議員定数25~50。大臣25人以内。

2.立法
(1)上院(連邦院):議員定数75以内。各州選出10,内閣の助言に基づき大統領任命5。
(2)下院(代議院):議員定数175。小選挙区選出。ただし,75人は包摂比例原則により候補者選出。(75人は比例制選出かもしれない。後日確認。)

3.行政
(1)大統領:儀礼的国家元首。連邦議会と州議会から選出される選挙人団が選出。
(2)首相:議会の多数により選出。不信任案は,首相就任1年経過後,現首相に代わりうる別の首相候補の名を明記した場合にのみ,提出可能。
(3)内閣:10人以内。

4.司法
(1)最高裁判所:長官と裁判官は「憲法会議」が指名。憲法解釈,司法記録保存。
 *憲法会議=最高裁長官(長),法務大臣,最高裁長老裁判官2,弁護士会指名1
(2)憲法裁判所:新憲法制定後10年間設置。連邦制に関する紛争の裁判。
 *憲法裁判所裁判官=最高裁長官,最高裁長老裁判官2,「憲法会議」又は「司法会議」推薦の専門家2。
(3)州裁判所

▼コングレス党の6州案と7州案(Repuiblica, 11 Oct)
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谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/10/14 at 11:14

カテゴリー: 憲法, 政党

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憲法基本合意,また延期

新憲法の基本合意案作成がまた延期され,2015年1月22日までに新憲法を制定・公布する,というコイララ内閣の公約の実行が微妙となってきた。

現在の議会(第二次制憲議会)は,与党がコングレス党(NC),統一共産党(CPN-UML),共産党ML,国民民主党(RPP)など,野党はマオイスト(UCPN-M)を中心とする22党連合など。議席数は,昨年11月総選挙でマオイストが大敗したため,与党が2/3以上を占めているが,新憲法を議会多数決で採択することは実際には難しい。

人民戦争停戦やそれ以降の多くの文書において,新体制はマオイストを含む諸勢力の「合意(コンセンサス)」に基づき構築するということが,繰り返し確認されている。また,現実問題としても,もし与党が一方的に多数決で新憲法を採択すれば,マオイストなどを再び反政府実力闘争に追いやることになってしまう。「合意」重視の包摂民主主義の理念からしても,また現実政治の観点からも,多数決での新憲法採択は難しいと言わざるをえない。

そこで制憲議会は,新憲法の重要課題を審議し合意を形成するための特別委員会をいくつか設置した。それらのうち最も重要なのは,次の三委員会。
 ・「憲法起草委員会」【議会内】:議長=クリシュナ・プラサド・シタウラ(NC)
 ・「憲法に関する政治的対話と合意形成委員会(CPDCC)」【議会内】:議長=バブラム・バタライ(UCPN-M)
  *Constitutional Political Dialogue and Consensus Committee (CPDCC),またはPDCC
 ・「高次政治委員会(HLPC)」【議会外】:議長=プラチャンダ(UCPN-M)

これら3委員会の相互関係はいま一つよく分からないが,ともあれ新憲法の基本構成に関する合意形成を委ねられたのが,バブラム・バタライが議長のCPDCCだ。

ところが,CPDCCでの議論は紛糾,期限までに合意形成ができず,答申提出が9月中旬,10月8日,そして次は10月16日と,2回にわたって延期された。
【主な対立点】
 ・連邦制
 ・政府形態
 ・司法制度
 ・選挙制度

これらは,いうまでもなく国家構造の基本の基本。それにもかかわらず,合意はいまだ形成されていない。事態はきわめて深刻だ。これに対し,ネバン制憲議会議長は,バブラムCPDCC議長に次のように命令した。 
 (1)10月16日までに,合意を形成し答申せよ。
 (2)もし合意形成が出来なければ,10月17日までに,争点一覧を作成し提出せよ。
現状では,(1)は到底無理であり,(2)となる可能性が大だ。

この情況を見て,与党のNCやUMLは,合意できない部分については,制憲議会本会議において投票で決定せよ,と要求している。これに対し議会少数派の野党22党連合(マオイスト他)は,投票採決には絶対反対,あくまでも諸党合意による憲法制定を要求している。

3回目の期限まであと数日,事態は緊迫している。すでにマオイスト主導の22党連合は,街頭に出て,投票採決阻止闘争を繰り広げている。

この情況に対し,HLPCのプラチャンダ議長(マオイスト)はどう動くのであろうか? ここでまた再び,人民戦争の英雄プラチャンダが鍵を握ることになるかもしれない。注目されるところだ。
 *Ekantipur,10&11 Oct; Republica,10 Oct;

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/10/13 at 13:50

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