ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

ホリエモン・バブル破裂とネパール的生活再説

予言的中。1月11日付「ギャンブル経済とネパール的生活」で指摘したギャンブル経済の病理が,ネット・バブルの象徴,ホリエモン氏のライブドアへの東京地検強制捜査,ライブドア錬金術の破綻となって現実のものとなった。残念なのは,神のような予言能力を持ちながら,マモン批判に気をとられ,バブル破裂によるぼろ儲け――マモン神への復讐――の絶好のチャンスを失したこと。あの予言の時点で株の空売り(投機の極意!)をやっておれば,一瞬にして何十億と儲け,ホリエモン氏退去後の六本木ヒルズに入居し,都下を睥睨していたはずなのに,残念!

▼ホリエモンと大衆
しかし,私はホリエモン氏を高く評価している。授業でもホリエモンは偉い,と公言してきた。そもそも,株,いや資本主義とはそんなものだ。その原理を知り抜き,投機で急成長してきたのが,ホリエモン氏。どこが悪い! 資本家やその寄生者のくせに反資本主義的封建徳目を唱える政財界の親玉よりも,はるかに立派ではないか。

愚かなのは,そんな見え透いたカラクリにだまされ,時給700円前後(長崎市最低賃金,パート実勢時給)で細々貯めたなけなしの金や,「非文化的で不健康な生活」を保障する国民年金を元手に,一攫千金を夢見て,株バクチに投資した多くの国民だ。ホリエモン・バブル破裂で茫然自失,狼狽しているのではないか?

▼朝日新聞の大罪
大衆投機家は愚かだが,同情には値する。これに対し,許せないのは,先に指摘した高級紙のバブル扇動だ。今日1月18日の朝日新聞を見よ。1面で,ホリエモンが株操作によって2004年11月8日から12月16日の間に株価総額を37倍にした疑惑を報じ,権威ある社説では「ライブドア『勝ち組』暗転の衝撃」の見出しの下に,ホリエモン氏への刑事責任追求を高飛車に要求している。ところが,8面の「アエラ」広告では,堂々と,「一周遅れ人のための株入門,上昇銘柄予想の仕方/平均株価2万円の壁超す時期」とバブルを煽っている。これは何だ! 社説に従い,バブルに乗るのを止めるべきか,アエラに従い,株投機一周遅れを取り戻すべきか?

株投資で一番危険なのは,「一周遅れ」を唱え,「乗り遅れ」不安をかき立て,投機へと大衆を誘い込むことだ。大衆は株知識がないから,煽られるとたちまち不安になり,一斉に株投機へと走り出す。信じられないことだが,最近では,郵便局までが,郵便配達の特権を利用し(これは違法ではないか?),投機商品をさかんに勧誘している。多少慎重な人であっても,大朝日や郵便局が勧めておれば,まあ安全かと思い,投機へと傾くであろう。

しかし,大衆が走り出した頃には,バブルを仕掛けたワルは,そっと退却し始めている。そして,バブル全面破裂で大衆が気づいた頃には,もう手遅れ,どうにもならない。しかも,ワルは悪知恵が働くから,「自己責任」の論理で何の責任もとらない。

ギャンブルで儲けるのは胴元だけ,ということは江戸の昔から,分かり切っている。資本主義ギャンブルの胴元は,誰か? それも,ちょっと冷静になれば,すぐ分かる。だったら,投機には手をださにことだ。

▼ネパール的生活で億万長者に
そして,敬愛するネパールへ行き,しばらくネパール的生活の修行をすることだ。そうすれば,資本主義ギャンブルの胴元の手が透けて見え,マモン神の裏をかき,一攫千金の夢を実現できるかもしれない。

*『朝日新聞』2006年1月18日

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2006/01/18 @ 10:51