ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

神政日本と世俗共和制ネパール

谷川昌幸(C)

日本が根源的な部分で神政であることが,またもや露呈した。8月15日,小泉首相が靖国神社を参拝し,憲法よりも国家神道に従うことを内外に宣明した。

そして,国家神道を批判すればどうなるかも,この日,グロテスクな形で世界に示された。報道によれば,加藤紘一議員の自宅(山形県鶴岡市)が放火され全焼,放火犯と見られる右翼男性がその場で割腹自殺を図っていたのだ。もし報道通りだとすれば,いかにも日本的だ。

かつて日本は天皇崩御の際の異様さで,世界とくにアジア諸国を戦慄させた。理解を超えた底知れぬ不気味な情念に,結局は,日本人は支配されている。いつかまたそれが政治を席巻することになるのではないか,と。

日本の国家神道に比べるなら,ネパール王政ははるかに表面的であり,前近代的である。したがって王制を廃止し共和制に移行することも,日本よりはるかに容易であろう。

しかし,ネパール世俗共和制化の議論の前では,つい躊躇してしまう。じゃあ,おまえはどうなんだ,自分は天皇制の下でぬくぬくと生きていながら,なぜネパールに共和制を要求するのだ,と反論されたら答えようがないからである。

天皇制の下で生きながら,ネパール王制を時代遅れ,反民主的と一方的に非難する勇気は,私にはない。

Written by Tanigawa

2006/08/16 @ 12:59

カテゴリー: 政治