ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

カースト差別より危険な血液型差別

谷川昌幸(C)

人間は平等よりも差別を好むらしく,日本では血液型性格判断が若者を中心にはやり,とうとう朝日新聞までがそれに加担し始めた。

血液型差別は100%生まれによる差別であり,カースト制よりもむしろ危険である。ネパールには,こんな似非科学,ナチス的優生学的人間差別はあるまい。

朝日新聞までが,こんな「科学的」人間差別に加担し始めたのを座視し得ず,抗議の投稿をした。下記が10月7日付紙面(西部本社)に掲載された投稿の原文(紙面では一部変更・省略)。
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血液型の記載 記事には不要

大学教員 谷川昌幸

今回の自民党総裁選記事に,朝日新聞は候補者の血液型を掲載した。全く不適切であり,謝罪し取り消すべきだ。

9月9日付記事では安倍,谷垣,麻生各氏,22日付では安倍氏の血液型が,身長,体重とともに記載されている。自民党総裁選は,実質的には次期首相を決めるものであり,国民の関心も高かった。朝日新聞が総裁候補に関する情報を詳細に報道するのは当然だ。しかし,身長や体重,ましてや血液型と政治的能力とはどのような関係にあるのか。政治家には,たとえばB型が最適,O型はやや難があり,A型は不適格ということか。

血液型性格分類の根拠は科学的には立証されていない。ところが,若者を中心に血液型性格判断は広く支持されており,大学ですら「彼はB型だから・・・・」といった会話が日常的に交わされている。遊び半分といって済まされない状況だ。

ここでもし朝日記事が先例となり政治家紹介に血液型を書くことが一般化したらどうなるか。血液型で政治家適性が判断されたり,保守はA型,革新はB型,中道はO型といった血液型政治論が現れ,「私はA型だから,A政党に投票する」といったことになりかねない。

朝日新聞は,おそらく若者の間の血液型性格判断人気を念頭に,硬くなりがちな政治記事を親しみやすくするつもりで総裁候補の血液型を掲載したのだろう。しかし,血液型と政治家の資質の間には何の関係もない。両者の関係づけはきわめて危険であり,倫理的にも政治的にも絶対にやってはならないことだ。

(朝日新聞,10月7日付投稿記事原文)

Written by Tanigawa

2006/10/08 @ 09:41

カテゴリー: 人権

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