ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

ネグリ=ハート「マルチチュード」(1) グローバル帝国の解剖

谷川昌幸(C)

アントニオ・ネグリとその弟子マイケル・ハートの共著『マルチチュード』(NHK出版)を読み始めた。100円電車内だが,これはまた何たる明晰さ,揺れも騒音も遮断され,一気に現代世界の冷徹な解剖と怒りの告発に引き込まれた。翻訳も見事だ。

ネグリ=ハートの共著は,この本も『帝国』(以文社)も大著である。しかも,ネグリはイタリア急進左派の指導者であり,1979年テロリスト嫌疑で逮捕,投獄され,83年フランス亡命,97年イタリア帰国で収監といった「危険人物」である。これまで敬遠してきたが,彼らの本は,現代世界のグローバル化を語るには,やはり避けては通れないようだ。

で,ネパールとの関係? もちろん,直接的には,ない。しかし,グローバル化は,米欧日などの中心部分よりも,途上国の方に大きな衝撃を与えている。グローバル化は,資本主義システムの外部にいたネパールのような国々を,内部の周縁部分に組み込むことだから,その変化は大きく,破滅的な打撃を与える場合が少なくない。

ネパール・マオイストは,決して21世紀のアナクロ妖怪ではない。旧知の名だが,内実はこのグローバル「帝国」に対する「新しい」抵抗運動としての様相を持ち始めている。エベレストの赤旗が世界「帝国」への抵抗のシンボルとなるのも夢ではない。

では,マルチチュードとは,何なのか?

Written by Tanigawa

2006/10/10 @ 09:18

カテゴリー: 民主主義