ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

国内ミニ冷戦の平和

谷川昌幸(C)

10月10日の和平交渉は,残念ながら,めぼしい成果はなかったようだ。来年6月中旬(あるいは4,5月)までに,憲法制定会議選挙を実施するということには合意したらしいが,来年のことなど鬼が笑う。

和平交渉は,軍隊をもつ2政府の交渉であり,むしろ国際関係に近い。北朝鮮が核実験で頑張るのと同じく,人民政府もはおいそれとは人民解放軍を手放しはしないだろう。人民政府税,人民共和国関税などを堂々と徴収し,自前の裁判もやっているのだから,別に焦る必要はないわけだ。

だから,「選挙」「共和制」などは,お念仏。イワシの頭の有難味もない。90年革命のとき,「政党民主制」が光り輝いていたのと同じこと。十数年前のことをコロりと忘れるようでは,明日のこと,ましてや1年後の約束など,鬼は笑う気もしないだろう。

7党政府とマオイスト政府の力がほぼ拮抗し,Balance of Powerとなり平和が実現した。ネパール内ミニ冷戦。7党もマオイストも,案外,現状が居心地よいのかもしれない。むろん,「立ち上がった人民」とおだてられた庶民は,2政府によるダブル課税に苦しめられているが。

それもこれも,兵隊さんを2倍にし,国会議員を1・5倍にし,そして公務員を激増させるのが,7党とマオイストの暗黙の目標らしいから,仕方ない。そのような提案は,すでにいくつもある。再生居直り議員200+マオイスト議員100=300議員。これなら選挙でもめなくて済む。

新生ネパール共和国は,「人民」奉仕者(公僕)の天国になるのではないか?

* ekantipur, Oct.10; nepalnews.com, Oct.10.

Written by Tanigawa

2006/10/11 @ 18:04

カテゴリー: 平和