ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

首相権限カットの思い違い

谷川昌幸(C)

マデシに目を奪われている間に,カトマンズではまたバカな動きが始まった。公布もされていない暫定憲法の大幅修正要求が殺到しているのだ。なかでも首相権限カットの要求は,もっともな要求もあるにはあるが,方向としては間違いだ。

1.最強権力のための民主制
民主制はそれ自体「独裁」であり,権力強化のためのものだ。君主主権のイギリスですら,民主化により議会は「男を女にする以外は何でもできる」くらい強力になった。民主主義の本家アメリカの大統領権限は,いうまでもなく世界最強だ。

それなのに,ネパールではまだ誕生もしない首相の権力を,はやばやと大幅カットするのだそうだ。やれやれ。

2.委任独裁でもよい
ネパール政治の宿痾は権力の弱さ。ネパールは,当面,委任独裁でもよいくらいだ。

強力な権力がなければ,自由も人権も守られない。権力を制限すれば,自由や人権が拡大するというナイーブな錯覚から早く覚醒すべきだ。

3.少数派のための強力権力
ネパールになぜ強力権力が必要か? いうまでもなく少数派,弱者のためだ。マデシも,カトマンズに強力権力ができ,彼らの権利が回復されるなら,ネパール国家内にとどまってくれるかもしれない。

* "Massive cut in PM’S power sought," KOL, Jan.15, 2007

Written by Tanigawa

2007/01/15 @ 19:56

カテゴリー: 民主主義

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