ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

日ネ軍事協力への第一歩

谷川昌幸(C)

グーグル・アラートで朝雲新聞(2/1)が配信された。それによれば,ネパールのバラ・ナンダ・シャルマ陸軍中将(UNDOF前司令官)が1月29日,遠路わざわざ久間防衛大臣を訪問,ゴラン高原で「自衛隊はいちばん信頼できた」と絶賛した。

これは,状況から見て,隠されてはいるが自衛隊派遣要請が目的と考えてよい。日ネ軍事協力への一歩前進だ。

しかし,ことこの問題ついては,本気で要請しているのはおそらくネパール側ではない。「海外活動をためらわない」「軍民共同活動に協力」を旗印とする安倍軍国化政権がごり押ししていると見るのが自然だ。

これまでネパールは日本から一方的に援助を受ける側だったが,こと軍事に関しては,まったく逆。ネパールには,グルカ兵として英軍,インド軍,国連PKOの下で活動してきた長い経験がある。日本を軍事力では守れないことを誰よりもよく知っている政治家や軍人は,自衛隊の活躍の場を海外に求めている。むろん,世界展開する企業の強い要請もある。経験不足の自衛隊にとって,ネパールは――
  ▼海外作戦の練習のために
  ▼ネパール軍から海外作戦の実技指導を受けるために
  ▼ヒマラヤをバックにした自衛隊の勇姿を宣伝するために
最適の国なのだ。日本が軍事援助される立場に立って,はじめて日ネ協力は双方向的となる。皮肉なことだ。

むろん,新しい金づる探しに躍起のエリートたち,特に日本の援助は米印中英などとは決定的に違い非軍事的であったため軍事援助寄生特権を享受できなかった軍事エリートたちは,自衛隊派遣を大歓迎するだろう。

しかし,庶民はどうか? 外国軍人を招き入れるのは,常識では売国的行為。きっとネパールにも自衛隊派遣反対の庶民は多いはず。カトマンズで反対デモでも始まれば,自衛隊派遣は中止となるだろう。朝雲新聞によれば,防衛省の守屋事務次官は「派遣は歓迎されるものでなければならない」と述べている。政策は,自衛隊派遣を誰が歓迎するかを考え,判断していただきたい

Written by Tanigawa

2007/02/06 @ 10:13

カテゴリー: 平和

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