ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

長崎市長銃撃とネパール選挙

谷川昌幸(C)

伊藤一長・長崎市長が銃撃され,重体となった(危篤状態)。銃撃は午後8時前。その直後,私は市電で現場の長崎駅に着いた。パトカーが走ってきたが,焦げ臭いにおいがしたので,火事だと思い,そのまま電車で帰宅した。ニュースで初めて伊藤市長が撃たれ,焦げ臭かったのは火薬の臭いだと分かった。

長崎はいま市長・市議会議員選挙中。投票は22日(日曜)。長崎では1990年,本島市長が銃撃されたが,この時は天皇の戦争責任発言が理由だった。先ほどの伊藤市長銃撃の理由はまだ分からない。確信犯らしく,おそらく政治的理由からだろう。

幾度か指摘したように,選挙戦も戦いであり,対立が激化する。政治的に成熟した社会であれば,対立は言論戦にとどまり,暴力とはならない。しかし,日本は,丸山真男の言葉を借りるなら「肉体政治」であり,選挙戦は,人格攻撃から人身攻撃へとエスカレートしがちだ。

選挙民主主義は難しい。ネパールの政治は,日本以上に「肉体政治」だ。その自省もなしに,選挙!,選挙!と浮かれていると,危険だ。長崎市長銃撃はネパールでも報道されるだろう。日本にしてこれだ。ネパールの人々も,選挙で何が,どこまで可能になるか,頭を冷やして,考え直して欲しい。

選挙は有用な統治手段だが,万能薬ではない。出来ないことの方が多い。ネパールの知識人,ジャーナリズムは,それを語るべきだ。過剰な期待ほど危険なものはない。幸か不幸か,選挙はどうやら秋まで延期となりそうだから。

 (4月17日午後9時半)

Written by Tanigawa

2007/04/17 @ 21:50

カテゴリー: 選挙