ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

スワンナプーム空港の倒錯と愚劣

谷川昌幸(C)

バンコクのスワンナプーム空港を使うたびに,その滑稽な植民地的倒錯に苦笑せざるをえない。今回は,写真付きで,実態をご紹介する。 (参照:過剰と欠如:スワンナプーム空港の悲喜劇スーツケース,連続被害

1.ソファーなし
この空港の非人間性の第一にあげられるのは,石のように固く冷たいイスはあるが,30分以上,時間待ちするに耐えるソファーがないこと。

そのため,今回6月16日には,なんと通路に布を敷き,寒さでふるえながら時間待ちをしている人を見た。怪しまれると困るので写真は撮らなかったが,グッチか何かの高級店の前で野宿。それで平気なのが,植民地文化なのだ。

2.トイレなし
さらに悲惨なのが,トイレがないこと。信じられないかもしれないが,本当なのだ。

少し早めに最終荷物検査を受け,搭乗待合室(下図エスカレータ下)に行こうとすると,まだ開いていない。そこで乗客は通路に1,2時間待たされることになるが,ここにはなんとトイレがない。6月16日も,出ることも入ることも出来ない数十人の乗客が通路で怒りまくっていた。その一人が,私。

bkk5 *固く冷たいイス。早く来ると,ここにすら入れず,エスカレーターの上部右横の通路で待たされる。トイレなし。イスも少ないので,大半の乗客は通路で野宿となる。

3.寒い
南国では「寒さ」は北の宗主国を思い出させるためのサービスであり,この空港も環境,省エネなど完全無視,凍えるほど寒い。天井が高く,ガラス張り温室のような構造なので冷房効率は極端に悪いはずなのに,冷房ガンガン,ふるえながら,窓外の南国の太陽を楽しむことができる。南国の植民地的極上サービスだ。

リュックの衣類を全部着込み,やはり寒いタイ航空機で関空に着いたとたん,暑くなり,半袖になった。南国で寒く,北国で暑い。まさしく,植民地的倒錯だ。

4.暗い
太陽いっぱいの南国で,しかも総ガラス張りに近い構造なのに,空港内は異常に暗い。これも,北の宗主国の陰気な暗い冬を思い出させるための植民地的サービスだ。

倒錯の極みが,間接照明。明るいのは天井だけ。通路も待合室も恐ろしく暗い。傘を上下逆にするだけだから,たいした費用はかからない。宗主国に気兼ねせず,南国らしく明るくすべきだ。

bkk3 bkk4*この照明は転倒している。室内は暗く,本も読めない。右の写真を見よ。搭乗券が見えないので,天井照明直下であるにもかかわらず,係員は読書灯をつけている。転倒した世界では,転倒が正常と思えるのだ。

 5.高い
高級店ばかり。私は,この空港では1バーツも使わない。同志も多いらしく,開店休業で,閉店も出始めた。

この点でも,関空は偉い。ユニクロを出店させ,レストランも大学食堂より少し高いくらい。ユニクロ関空とグッチ・スワナンプーム。大衆文化と植民地文化の比較研究に絶好だ。

5.愚劣
この空港の愚劣さを象徴するのが,庭園。金をかけた一見美しい庭園に,なんと模型の白い鳥(白鳩?)が群舞している。

やれやれ。こんな愚劣なことをしていると,本物の野鳥が飛んできて,飛行機を自爆攻撃するぞ。飛行機のために野鳥を撃ち殺しておいて(多分そうしているのだろう),そのかわり模型の鳥をおく。愚劣の極みだ。

固いベンチで,おしりが痛くなった。気晴らしに,他の愚劣を見学に行こう。

bkk6 *白く点々と見えるのが,模型の鳥(白鳩?)。これを美しいと感じることが出来れば,めでたく倒錯世界の住人となれる。

Written by Tanigawa

2008/06/28 @ 21:49

カテゴリー: 旅行

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