ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

ネパールのスウィフト,ジャー副大統領

谷川昌幸(C)

ジャー副大統領は,辛辣なユーモア精神にあふれた方だ。大好きになった。

マイティリ語が母語の副大統領が,わざわざヒンディ語で就任宣誓をされた。マオイストらの民族自治論を皮肉り倒した痛快な政治パフォーマンスだ。――君たちは階級闘争論のはずでしょ。それなのに,色気を出して「民族」にちょっかいを出すと,タライ(あるいはマデシ自治州)は親インドとなりますよ。

暫定憲法によれば,「ネパールで母語として話されているすべての言語は国民言語である」(第5条(1))から,ヒンディもれっきとした「国民言語」であり,たとえ母語ではなくてもそれを話すことは誰に対しても禁止はできない。ヒンディで宣誓して,何が悪い。

ジャー副大統領は,ネパールのスウィフトといってよい。

*2001年国勢調査によれば,ネパールには92の母語があり,ヒンディーもその一つ。母語としているのは105765人(全人口の0.47%)。
**タライの人が演説などでヒンディーを使用するのは,(本当は)少数派母語ではタライでも母語以外の人々には理解されないからではないか。

Written by Tanigawa

2008/07/25 @ 20:48

カテゴリー: 文化

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