ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

神・女・酒: マオイスト政権の試金石

谷川昌幸(C)

マオイスト新政権の前途多難は皆が異口同音に合唱しているが,肝心要はいうまでもなく「神・女・酒」だ。いずれも神聖でかつ酔いやすく,救われもすれば破滅させられもする。人間(man)存在の根源に関わるものといってよい。

その肝心要の点について,適切かつ勇敢に報道しているのは,見たかぎりでは,マーカンタイル(nepalnews.com)のみ。横並びで面白味のないネパール・ジャーナリズムのなかで,突出している。

マオイストが,「神・女・酒」について厳格な規律を持つことは,周知の事実だ。人民解放軍宿営所(cantonment)での「風紀の乱れ」のウワサはよく聞くが,マオイストに限ってそんなことがあるはずがない。自己を厳格に規律しているからこそ,他に対しても厳しくできる。マオイストは,自己を厳しく律した上で,サンスクリット大学を攻撃し(注),女性を解放して兵士とし,人民政府支配地域に禁酒令を敷いた。史的唯物論からすれば,「神・女・酒」は階級搾取の苦痛を忘れさせるアヘンにすぎず,こんなものに惑わされていては,人民の解放はできない。論理明快であり,マオイスト政権になれば,当然その「科学的真理」の普遍的実現を目指すはずだ。

 (注)2002年5月11日,ダン郡のサンスクリット大学をマオイスト女性ゲリラ数百人が襲撃した。

 いまのところ,この肝心要の論点に目を向けているのは,マーカンタイルだけ。明らかに確信犯だ。反ミスコン記事にはジャーナリズムの反骨精神があふれている。

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ミスコン反対活動家たちがダハール首相に反対声明を渡し,禁止を要請。マオイスト党本部にて。(Aug16 08. nepalnews.com)
 

Written by Tanigawa

2008/08/17 @ 11:02

カテゴリー: マオイスト

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