ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

YouTubeのネパール文化破壊

谷川昌幸(C)

先日,公共図書館のDVD・CD貸出はケシカランと憤慨しつつ,それに流されてしまう情けない状況を自嘲気味に告白したが,ネットの現状はそんな生やさしいものではないらしい。

ネットはよく利用するが,これまでユーチューブは敬遠してきた。昨日,図書館DVD・CD貸出との関連でユーチューブを見たら,公共図書館がDVD・CD貸出の文化破壊に走らざるをえない苦しい状況がよく理解できた。

ユーチューブは,まさに何でもあり。これでは図書館もDVD・CDを貸し出さざるをえないだろう。そのうち,図書館もDVD・CDをサーバーに移し,ネット経由で映画や音楽の貸出を始めるに違いない。図書館のユーチューブ化だ。

これは図書館の自滅であり,文化の破壊だ。

図書館はもともと教会や王侯・貴族が知や文化を収集し秘蔵するため設置したものだ。文化にもそれを保管する図書館にも,近寄りがたい神秘性がつきものだった。ところが,民主化により図書館は皆のものになった。本来,文化は地域的・時間的特殊性を本質とし秘匿されるべきものなのに,皆のものになった図書館はそれを無原則に収集し公開し始めた。隠されてあるべきものを公開する。タコの足食いと同じで,図書館の自滅だ。

それは,神のものである「言葉」が皆に理解されてしまえば神は不要になり,秘仏が公開されれば御利益が無くなるのと同じことだ。

が,ネット化で世界がそう動いている以上,図書館も私もそれに追従せざるをえない。情けなく恥ずかしい限りだが,ネットの情報公開の理念には抵抗できない。まさに,世界はヘーゲルの言う通り,物ではなく理念の自己展開に支配されているのだ。

で,ネパールについてみると,ユーチューブはすごい。何でもあり。ヒマラヤの神秘など,もはやどこにもない。これはネパール文化の貪欲な消費であり,文化破壊だが,たとえネパールであろうとネット化理念の自己展開の外にいることは出来ない。ネパールは,数千年にわたって積み重ねてきた文化的伝統を瞬く間に費消してしまうであろうが,しかし,これも必然であり,いたしかたない。そこで,わが「ネパール評論」も,文化破壊の悪魔に加担し,ユーチューブ・ネパールへのゲートを開くことにした。

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これは地獄門であり,先には文化の死屍累々,荒涼たる文化破壊が広がることになるが,これも必然,もはやこのゲートを通り,三途の川を渡り,餓鬼のごとく文化を喰い荒らし喰い尽くすより仕方ない。禁断の木の実を食べた人間の業であり宿命なのだ。

ようこそ,ネパール文化破壊の世界へ!

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Written by Tanigawa

2008/12/07 @ 11:59

カテゴリー: 文化

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