ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

醜悪な郊外開発

谷川昌幸©
3月15日,ナガルジュン山麓をバラジュからイチャングナラヤン付近まで見てきた。醜悪といわざるをえない。
 
1.美しい伝統的家屋
散在するタマンの伝統的家屋は美しい。これは懐古趣味ではなく,近代以前の人々は経済的には貧しくても美しさを考える時間的余裕があったからだ。日本でも古い村や町は見て美しい。本来なら,その伝統的景観を保存しつつ,住環境を改善していくべきであろう。
 
2.醜い成金住宅
ところが,カトマンズ郊外では,景観も調和も全く考えず,乱雑に見苦しい家が次々に建てられている。大規模住宅開発も行われている。こんなところは,歩いていても疲れるだけだし,人々もネパール人とは思えないほど愛想が悪い。
 
3.不動産債券化の勧め
家を建てているのは,おそらく海外出稼ぎ組と新旧特権階級であろう。他に投資すべきものがないので,土地と家に投資する。しかし,実物投資は管理が面倒なので,そのうち不動産債券化を工夫する知恵者が出てきて,不動産バブルの最終局面となるだろう。
 
4.雇用創出効果
ただ一つよいことは,こうしたすさまじい不動産開発ブームで雇用が生み出されていることだ。山麓のいたるところで,男女が建設作業に従事していた。
 
5.異彩を放つ僧院
ここで異彩を放っているのが,チベット仏教のノーブツェ・ボンポ僧院。山腹に巨大な僧院を建て,多数の修行僧が居住し修行している。 村というか町のはずれというか,何の情緒もない集落の商店の店先に,子供僧から20歳前後の青年僧まで多数たむろし,時間つぶしをしている。その前で修行僧たちがマウンテンバイクの曲乗りに興じているのを見ると,ここでも時代の変化を感じざるをえない。
 
ただ,このような少年~青年たちが多数集まり,集団生活をしていると,団結心はいやでも高まる。チベット仏教僧院は大変お金持ちである。僧院で鍛えらるピューリタン的勤勉と団結心が,民族全体に波及していき,彼らを強力な民族集団にしているのだろう。
  
                       タマンの伝統的民家と新築住宅 
 
   
   分譲宅地と建築中の住宅                 ノーブツェ・ボンポ僧院  

Written by Tanigawa

2009/03/16 @ 23:12

カテゴリー: 文化