ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

マイティリ画のイエス像

 谷川昌幸(C)
今日は,ショッキングな絵を見た。マイティリ画は,マイティリ女性たちが主にヒンズー教のテーマに基づき壁に描いてきたものだ。ピカソを思わせる画風で,本物には実に素晴らしいものがある。 20年ほど前,手漉紙に描いたものだが,マイティリ女性の手になるマイティリ画を何枚か手に入れた。研究室に飾ってあるが,みな素晴らしいと誉めてくれる。単なるおみやげではないからだ。
 
今日,あるところに立ち寄ったら,そのマイティリ画の手法で,十字架のイエスが描かれた絵が展示されていた。これはショックだった。マイティリ画=ヒンズー教絵画ではないであろうが,いくらなんでも十字架のイエスをマイティリ画で描くことはなかろう。それとも,マイティリ女性はキリスト教に改宗し,壁にイエスや聖母マリアを描きはじめたのだろうか?
 
(補足)
日本のカクレ・キリシタンの「マリア観音」は,過酷な弾圧を逃れる便法であった。それが長期化し,独自の信仰形態に変容してきたのだ。マイティリ画のイエス像はどこか違うようだ。 伝統文化がキリスト教を取り込む,あるいは逆にキリスト教が伝統文化を取り込むということは,どこでも見られる。その意味では,マイティリ画のイエス像やマリア像が描かれても不思議ではない。
 
そのうち,キリスト教マンダラ,カトリック・マンダラなども出回るだろう。 それはそれでよいのだが,しかし,どうも釈然としない。

Written by Tanigawa

2009/03/22 @ 23:21

カテゴリー: 文化