ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

UNMINとCIA

谷川昌幸(C)
「人民評論」はそのつもりで読むと面白い。「UNMINの自由チベット・キャンペーン」(People’s Review, 4 Sep 2009)もそうだ。情報源がはっきりしないが,ひょっとすると本当かなぁ,と考えさせてくれる。
 
記事によれば,ランドグレン代表をはじめUNMIN高官たちは,自由チベット運動に加担し,チベット人たちに武器を供給している。ある情報筋によると――
 
「UNMIN代表はカーストや階級[の対立]を利用し,国家(state)を創るCIA戦略に精通している。ランドグレン代表は,エチオピアでCIA活動に加担し,エチオピアからエリトリアを創り出した。・・・・代表はマオイストの信頼を勝ち取り,次にヒマラヤ国家(state)を分離独立させ,これによってCIAの対中国作戦を達成することをもくろんでいる。少なくともこれだけは明らかだ――ランドグレンは,多くの民族(nations)を分裂させ,連邦制に向かわせた。彼女は,CIAの最終目的を実現するために,ネパールに来ているのだ。」
 
記事によれば,エチオピアでもユーゴスラビアでもナショナリズムが強く,アメリカの思い通りにならなかった。そこで――
 
「結局,CIAはエチオピアとユーゴスラビアに民族(caste)自治のスローガンを浸透させ,その[分割の]仕事をさせるため,ランドグレンを送り込んだ。情報筋によれば,ランドグレンはエチオピア分割に成功し,次にユーゴスラビアの[国家]アイデンティティを抹殺した。情報筋によれば,CIAの三番目の特別任務は,このネパールである。」
 
「UNMIN筋自身が,UNMINの全職員はCIA関係者か英調査機関スタッフであることを認めている。」
 
「皆が,UNMINは国連平和ミッションであるという幻想にとらわれている。マオイストも当初しばらくは歓迎していた。しかし,UNMINは,マオイストが民族(caste)問題を持ち出したので,マオイストを利用しているにすぎない。情報筋によれば,CIAが北部にヒマラヤ国家(state)を設立することに成功すれば,UNMINはマオイストを捨て去るだろう。CIAが左翼愛国勢力を支持することは決してない。マオイストはそのことに気づくべきだ。」
 
さらに記事によれば,ゴードンUNMIN顧問は,米英合同機関の戦略家であり,コンゴでフツ族とツチ族の対立を創り出すことに成功した。「彼はネパールでカス系とモンゴル系との対立を創り出そうと目論んでいる。」
 
以上の記事は,無署名であり,情報源も「公安情報筋」や「情報筋」なので,信憑性を確かめようもないが,状況からして,いかにもありそうな話だ。
 
ネパールにおける民族自治・民族自決の議論はいささか不自然であり,必ずしも内発的とは言い切れないような気がする。被抑圧民族の不満が募っていることは事実だが,それに火をつけ煽っているのは,むしろ欧米諸国ではないか? UNMINを中心とする「国際社会」の強引とも思える介入をみていると,そのような気がしてならない。
 
むろん,いくら何でも,UNMINがCIAの手先(agent)であり,ランドグレン代表もCIAにより送り込まれている,といったことはあるまい。
 
しかし,その一方,UNMINがネパール内政に深く関与し,世論を民族自治,包摂民主制,連邦制に向け強引に操作し,以前であれば明白な内政干渉であったようなことまで手がけていることは事実である。
 
ネパール平和構築のためには,このような強引な介入もやむを得ないのだろうか? ネパールにとって,内発的民主化は本当に不可能なのだろうか? UNMINも,おそらくこの問いを常に問いつつ,活動しているのだろう。ネパールのような国への介入は,どのような国にとっても国際機関にとっても,大変難しく,相当の覚悟が求められることはたしかなようだ。

Written by Tanigawa

2009/09/06 @ 20:47

カテゴリー: 平和

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