ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

印中の対ネ軍事援助合戦

谷川昌幸(C)
インドと中国が,ネパールに対する軍事援助合戦を再開した。仏陀生誕地に武器を送りつけ,代理戦争をさせるつもりだろうか?
 
(1)インドの軍事援助
インド国防省高官は,訪印中のグルン統幕長の要請にこたえ,インド軍学校へのネパール士官受入増,インド軍グルカ兵増員,戦車(中古?)50両の供与の意向を表明した。
 
インド軍グルカ兵は約4万人(2004年)。優秀で使いやすいため,現在の年1600人募集枠を拡大し,1大隊(約900人)を増設するらしい。
 
インドの対ネ軍事援助は,グルン統幕長(インド軍学校卒)からの要請であるが,インド側も,ネパール軍士官を訓練し,武器を援助し,グルカ兵雇用を拡大することにより,対ネ影響力の維持拡大をねらっていることはいうまでもない。
 
(2)中国の軍事援助
中国も,グルン統幕長訪印をにらみながら,対ネ軍事援助の拡大を表明した。
 
訪ネ中国軍事使節団のジャリン(Jialing)将軍は,ネパール国軍TJB・シン副統幕長と会談し,2億2千万ルピー相当の武器,兵站,軍事訓練の供与を表明した。その中には,中ネ国境付近の「中ネ友好ビル」建設も含まれている。
 
中国軍事使節団は,バンダリ国防大臣とも会談した。バンダリ大臣は,中国側に対し,軍事援助拡大,両国の軍事関係の緊密化,チャウニー軍病院への援助を要請した。一方,中国側は,バンダリ国防大臣,ギミレ国防省事務局長の中国訪問を要請し,またラサのネパール領事館再建援助も表明した。
 
 ――以上のように見てくると,中国とインドが,ネパールをめぐる軍事援助合戦を再開したことが分かる。あるいは,逆に言えば,ネパールが,中印に二股をかけ軍事援助を競わせる,伝統的外交手法を再開したともいえる。
 
しかし,これがネパール人民にとっていかに危険な冒険であるかはいうまでもない。途上国ネパールが,十数万の軍隊をもち,重武装し,あげくの果ては「北部諸州」は中国側,「南部諸州」はインド側について代理戦争に突入。そんなことになりかねない。
 
日本は,十数万もの軍隊をもち軍拡に狂奔するネパールに対し,このまま援助を継続してもよいのだろうか? 
 
ネパールは,日本国益にとって,国連での1票しか利用価値がない。その1票ですら,森首相訪ネのお願い外交をしてすら,恵んでもらえなかった。日本は,いくら援助をしようが,ネパール政府からは徹底的に軽視され,バカにされている。対ネ開発援助こそ,必殺仕分人の仕分を受けるべきだろう。

Written by Tanigawa

2009/12/18 @ 11:22

カテゴリー: インド, 軍事, 外交, 中国

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