ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

ネパール人研修労働者受入

谷川昌幸(C)
ネパール労働省は1月初旬,国際研修協力機構(JITCO)プログラムにより渡日するネパール人研修労働者のための事前教育プログラムを決定した。詳細は,2月初旬のJITCO職員訪ネの際,決定するという。ネ日研修生協定は,2003年12月3日に調印されている。
 
 ●事前研修(ネパール)
  日本語=読み書き:60日(90時間) ,会話:60日(90時間),専門用語:6時間/3日
  日本文化=30時間(10日),日本の食事=30時間(10日)
  受講料=7000ルピー,研修生斡旋=172業者
 ●来日後の研修
  職業研修=1ヶ月
 
外国人研修労働制度は,以前は「現代の奴隷制」と呼ばれるほど劣悪な労働条件であった。その後,批判され改善されたと聞くが,実態はどうであろうか?
 
研修生,雇用主夫婦を殺害し自殺(2009.11.12)
熊本県で,中国人研修生が研修先の農家の夫婦を殺し自殺。農繁期には朝5時から深夜まで働かされていたという。
 
外国人研修生の死者33人(2008)
交通事故4,漁船1,仕事中6,自殺1,病気15,その他6。研修生は20-30代であり,過労が主な原因と見られている。
 
研修生の労働条件(日弁連)
平均時給:300-500円,残業時間(月):80時間以上。100時間以上も少なくない。
 
韓国では研修労働制,廃止
宣元錫氏(朝日1/9)によれば,韓国では日本をモデルにした外国人研修制度は問題が多いためすでに廃止し,正規労働者として受け入れる雇用許可制にした。1月18日,韓国とネパールは,この労働者受入協定を2年更新した。韓国は,制度的にも多くの点で日本を追い越し,日本は変化に対応できない極東の後進国として取り残されつつある。
 
 ――いま日本企業がネパールに目を向け始めたのは,おそらく中国や東南アジアの人件費が上がり始めたからであろう。劣悪な労働条件に耐えられる勤勉な労働者を捜していたら,ネパールがあったというわけだ。これは,研修労働者ではないが,1月12日,長崎の漁船が転覆し,乗組員10人が行方不明になった。そのうち6人は中国人労働者。これを見ても,日本の工場,農漁業などの労働現場で外国人労働者がいかに必要とされているかがよく分かる。
 
しかし,ネパール人研修労働者を受け入れるのであれば,制度を整え,日本人労働者と同等の権利をきちんと保障すべきだ。「研修」名目で低賃金を正当化するような姑息な利己主義でネパール人研修生を大量に受入始めたら,必ず問題が生じる。日ネの友好関係も瞬く間に破壊されてしまうだろう。
 
(参照)

Written by Tanigawa

2010/01/20 @ 09:19