ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

外国人研修労働の違法性認定:熊本地裁

谷川昌幸(C)
熊本地裁は,1月29日,外国人研修・実習生の中国人女性4人を働かせていた天草市の縫製工場主と仲介機関に対し,過酷な違法労働をさせたとして,慰謝料などの支払いを命令した(朝日,1/30)。
 
判決によれば,「午前3時頃まで就労させ」,「残業代は時給300円」だった。そして,「縫製作業は研修とは名ばかりの労務の提供」であった。
 
研修実習生は,パスポートや預金通帳を取り上げられ,法定労働時間を大幅に上回る過酷な労働をさせられており,「奴隷」(原告)のような状態だったという。熊本地裁判決は,縫製業者だけでなく,仲介機関の「協同組合」の不法行為責任をも認めた。
 
原告は,国際研修協力機構(JITCO)に対しても賠償を要求したが,判決では「協力機構に法的義務はない」とされた。しかし,直接的な法的責任は認められなかったとはいえ,JITCOに政治的・道義的責任があることは明白である。
 
先に述べたように,ネパール側報道によれば,まもなくJITCOは職員をネパールに派遣し,ネパール側と研修労働者派遣について協議するらしい。しかし,いまの外国人研修・実習制度のままだと,問題が起こる危険性が極めて高い。
 
日ネ友好を大切に思うなら,われわれは,外国人研修・実習制度のこうした実態をネパール側に伝えるべきであろう。日本では,テレビや新聞で繰り返し報道され,告発本も何冊も出され,しかも裁判所ですらこの制度による「違法労働」「人格権の侵害」の事例を認めたのだ。知らないのは当事者のネパール人民だけ,というのではあまりに信義誠実に反する。
 

2010/01/20 ネパール人研修労働者受入  
対日ネパール人輸出,あるいは新三角貿易  
拝啓 マオイスト労相殿: これが研修奴隷だ! 
共産革命と対日「人民」輸出

Written by Tanigawa

2010/01/30 @ 21:50

カテゴリー: 経済, 人権

Tagged with , , , ,