ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

平和産業

谷川昌幸(C)

ネパールでは、平和産業が繁盛している。人権産業、共和制産業、連邦制産業などもその傘下であり、すそ野は広い。

 

これらの平和産業は、外国からの投資を受け、その規模、格に応じて超一流ホテル、一流ホテル、二流ホテルでセミナーを開催し、同工異曲のおびただしいレポートを出版している。

 

その気になれば、ネパールでは一流ホテルでのセミナーをはしごし、365日、食っていくことさえ可能だ。

 

レポートの執筆料はよくは知らない。しかし、国連関係を中心に、日本でもめったに使用されることのない超高級紙をふんだんに使用していることから見て、執筆料(他の名目かもしれない)はさぞ高いのだろう。適当な内容のレポートをあちこちに書けば、そこそこの収入が確保されるはずだ。

 

平和産業の実態がこのようなものであるにせよ、戦争産業よりははるかによい。戦争産業は人を殺し、財産を破壊する。これは許しがたいことだ。

 

平和産業は偽善でありケシカランが、少なくとも直接人を殺したり財産を破壊したりはしない。

 

しかしながら、その平和産業も、特権化していくと、偽善を通り越し、構造的暴力となり、文化大革命のような紛争を引き起こすことになる。ネパールの平和産業が、限度を超えることのないことを祈るのみだ。
 
十字架やキリスト像が増加。仏像、マニ車、マニ石などの間に置かれている。キリスト教への集団改宗は続いているが、ここでは宗教原理主義は杞憂かもしれない。

Written by Tanigawa

2010/09/10 @ 16:52

カテゴリー: 文化