ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

中国のネパール介入拡大

谷川昌幸(C)
1.投票箱没収
チベット亡命政府の首相を選ぶ予備選挙が10月3日世界中で実施されたが,ネパールでは,内務省が警官を3カ所の投票所(ボーダ,スワヤンブー,ジャワラケル)に出動させ,投票用紙入りの投票箱を没収,選挙を止めさせた。
 
内務省は,この選挙は政府の「一つの中国」支持政策に反しており,違法だと説明した。しかし,当初,黙認されていたにもかかわらず,選挙が始まってから中止させたのは,ICT(国際チベットキャンペーン)がいうように,おそらく中国大使館がネパール内務省に介入を要請したからであろう。
 
では,没収された投票箱はどうなるか? Yahoo=IANSによると,投票用紙には投票者を特定できる記載があった。しかも,ネパール政府は最近,中国と情報協定を結び,それによりネパールでの「反中国」活動情報は中国側にも提供しなければならない。もしこの協定により,投票者情報が中国側に提供されれば,たいへんなことになる。投票したチベット人は気が気でないだろう。
 
在ネパール・チベット人有権者は,約2万人,カトマンズ地区は約9千人とされている。
 
2.ムスタン支援
こうした強面介入の一方,中国政府は戦略的地域への援助というソフト介入も拡大している。たとえば,ムスタン援助――
 
 ・6百万ルピー(720万円)相当の米,塩,砂糖の援助
 ・タクルン前期中学校への2百万ルピー(240万円)援助
 ・ディビヤデープ後期中学校校舎建設援助。中国政府使節が3月中旬,現地訪問,建設資金として現金570万ルピー(684万円)を手渡す。10月5日,中国大使が現地を訪れ,開講式挙行。
 
ムスタンはチベット国境沿いであり,ここには最近,インド政府も介入を始めたらしい。それをにらみながらの援助拡大ということであろう。それにしても,報道が事実なら,現金570万ルピー(1000ルピー札5700枚)の手渡しというのはスゴイ。これこそ,まさしく外交である。
 

Written by Tanigawa

2010/10/06 @ 14:48

カテゴリー: 外交

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