ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

ノーベル平和賞授賞式欠席,中国の要請で

ネパール政府は,中国政府の要請に応え,ノーベル平和賞授賞式欠席を決定した。各新聞は中国の「圧力」と伝えているが,ネパール側からすれば,これは有力な外交カードであり,ネパールはそのカードを国益の観点から合理的に行使したにすぎない。

ネパール外交はいつも非常に合理的である。たとえば,かつて日本が国連安保理入りに躍起となっていたころ,森首相がはるばるネパールまで出向き,平身低頭ひたすらお願いしたにもかかわらず,ネパールは日本には1票を入れなかった。日本に1票入れるよりも,中国に恩を売っておいた方がネパール国益に叶うからだ。日本なんか,何をされても,援助停止の勇気すらない,と見くびられてしまっているのだ。

またネパールは,中国から平和友好条約(1960)と文化協力協定(1964,1999)の改定を要求されている。これもネパールにとっては格好の外交カードである。受け入れれば,中国からの援助がさらに増え,インドに対する発言権が強化される。受け入れなくても,受け入れるぞと脅せば,インドから譲歩を引き出すことができる。どちらにせよ,ネパール国益に叶うのだ。

ネパールは,なかなかどうして,たいした外交巧者である。「中国の圧力」などといった一面的な見方をしていると,足元をすくわれ,みっともないことになるであろう。

【追加】(2010/12/10)
ノルウェイ大使兼任の駐英ネパール大使が,ノーベル平和賞授賞式欠席の訓令は受けていないと語った。いつものように,ギリギリの綱渡り,印中両大国を天秤にかけているのだ。インドは参加決定,さてネパールはどうするか?

【追加2】(2010/12/11)
ネパールは,出席したのか? どの新聞も,だんまり,いまのところネパールの出欠は分からない。ネパール流高等戦術かもしれない。

【追加3】(2010/12/12)
ネパールはどうやら欠席のようだ。

「英BBC放送やAFPによると、最終的に、中国を含めロシア、キューバ、ベネズエラ、スーダン、サウジアラビア、イラク、イラン、エジプト、カザフスタン、パキスタン、アフガニスタン、ベトナム、スリランカ,ネパール 、フィリピンなど19カ国ほどが欠席したとみられる。」(産経,12/12)

「2010年12月10日にオスロ市庁舎にて行われた式典においては、17ヶ国が、中国に配慮するために欠席した。欠席した国は、中国、ロシア、カザフスタン、チュニジア、サウジアラビア、パキスタン、イラク、イラン、ベトナム、アフガニスタン、ベネズエラ、エジプト、スーダン、キューバ、モロッコ、スリランカ、ネパール である。」(ウィキペディア「ノーベル平和賞」)

“Nepal? don’t know whether this country attend….but has been supportive of China”(Awakening China, Dec 12)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2010/12/09 @ 18:46

カテゴリー: インド, 外交, 中国

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