ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

パラス元皇太子の勝利

王室御用達『人民評論』(12/16)が,パラス元皇太子の勝利を称えている。記事によると,他のメディア報道は「一方的な決めつけ」であり,「スジャータ娘婿の受け売り」だった。「王制廃止後,スジャータ陛下が特別扱いされ,陛下の国家貢献が喧伝されてきた」という。

この調子で,『人民評論』は,『リパプリカ』や『ヒマラヤン・タイムズ』を非難し,最悪は「パラス・シャハ,スジャータ親族殺害を図る」との見出しで大嘘報道をした『ライジング・ネパール』だ,とバッサリ切り捨てている。『朝日新聞』を送ってあげたいくらいだ。

『人民評論』(「ネパール評論」ではない)の認定した事実は,「パラス元皇太子が,外国人たち[スジャータ娘婿ら]により彼自身と元王族とネパール国民が耐えられないほど侮辱されたため,空に向け銃を放っただけにすぎない」。たしかに,パラス元皇太子は保釈金1万ルピー(1万2千円)で解放されたのだから,司法当局はそう事実認定したのだろう。

政治的に見ると,これはパラス元皇太子の勝利である。ピストルを空に向けぶっ放すことにより,元皇太子は法の上にある貴種としての存在を誇示し,ネパール国家の名誉のために闘った愛国者としての名声を取り戻し,ポカラに凱旋した。他方,コイララ家は,数々の腐敗を暴露され,「汚職の総合デパート」,売国奴として今後も糾弾され続けるだろう。

王家はさすがにスゴイ。タブーといってもよい。これと闘うには,相当の覚悟が求められる。

今回,『人民評論』以上に激しく他メディアを攻撃したのが,インテリ・外国人向けとされる『テレグラフ』。インテリ=高位カースト/ブルジョアとすると,これはインテリ層が政党政治から離れる前兆かもしれない。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2010/12/17 @ 11:49

カテゴリー: 国王, 政党

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