ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

UNMIN延長拒否、ネパール首相

ネパール政府のランドグレンUNMIN代表宛書簡(12月31日)の内容が明らかになった。新聞報道によれば、マダブクマール・ネパール首相は、UNMIN延長を拒否し、人民解放軍(PLA)監視は「軍統合特別委員会」が引き継ぐ、と明言している。

国軍については、別のメカニズムをつくり、こちらに監視させる。国軍民主化も、国防省設置「国軍民主化委員会」にゆだねる。

要するに、UNMINは関係書類と施設・設備を引き渡し、さっさと出て行け、ということらしい。UNMINは、PLAの武器調査・保管、PLA戦闘員の資格審査・名簿作成、宿営所の運営監視などを担当しており、もし関係資料や施設をそっくり政府側に引き渡し撤退すれば、PLAは丸裸となる。国軍はめでたく国連監視から解放。反革命的名案だ。ネパール首相は本気だろうか?

マオイストは、ランドグレンUNMIN代表にプラチャンダ議長のUNMIN延長要請書簡を託しており、ネパール首相のこんなえげつないマオイスト攻撃を座視できるはずがない。

マオイストが頼りにするのは、皮肉なことに、今回もまたもっとも非民主的な機関である最高裁である。ネパール首相のUNMIN代表宛書簡を憲法違反として最高裁に訴え、無効判決を出させようというのだ。

ネパールは、いよいよ国家の体をなさなくなってきた。政府とマオイストが、正反対の要請書簡を国連(UNMIN)に送りつけ、国連のお裁きを請う。国内では、議会が解決すべき政治問題を非民主的最高裁に丸投げしてしまう。これが、世界でもっとも民主的な方法で選出された601人巨大議会の体たらくなのだ。

UNMIN任期終了まであと10日。現状では完全撤退は無理であり、政府、マオイスト双方の顔が立つよう、看板を書きかえ、実質的にはUNMINに近い任務を担う国連機関が設置される可能性が高い。

さて、その場合、世界展開を目指すわが中央即応集団派遣陸自隊員はどうなるのだろう。こちらも目が離せない。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2011/01/04 @ 12:09