ブッダ国際平和賞,長崎市長に授与
ネパール政府は1月13日,第1回「ゴータマ・ブッダ国際平和賞」を田上長崎市長と秋葉広島市長に授与することを決定,2月7日にはスベディ駐日次席公使が長崎市役所を訪れ,長崎市長に授賞式への招待状を手渡した。
朝日新聞2011.2.8
ブッダ国際平和賞は,5年に1回,「ブッダの説いた平和に貢献した個人または団体」に贈られる賞であり,今回,その初回受賞者に長崎市長と広島市長が選ばれたのだ。授賞式は5月17日,釈迦生誕地のルンビニで開催される。賞金は5万ドル。名誉なことであり,長崎市民の一人として誇りに思う。
が,それはそれとして,難しいのは,ここでも宗教と政治の関係。ネパールは世俗国家になったが,その前はヒンドゥー国家だったから,世俗化は結果的には,あるいは実際には,反ヒンドゥー(反ヒンドゥー教国家)を意味する。特に,世俗化のシンボルとしてヒンドゥー以外の宗教が用いられると,変なことになる。
そんな馬鹿な,と思われるかもしれないが,現にネパールでは官庁や政党が「仏教」を世俗化のシンボルとしてさかんに利用している。仏教の政治的利用である。
「ゴータマ・ブッダ国際平和賞」も,そうした仏教の政治的利用の一つではないのか? 授与される側としては,そんなことまで気にする必要はないといえばそれまでだが,ネパール政治の内情を多少知る者としては,一抹の不安を禁じえない。
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谷川昌幸(C)
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