ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

ネパール大使館,大阪に退避

ネパール各紙の報道によれば,ネパール政府は3月18日,東京の大使館を閉鎖し,大阪に退避させた。

在日ネパール人に知らせることもなく,電話を止め,館員率先して大阪に避難したそうだ。いかにもネパール的。(ただし,大使はまだ東京残留らしい。)ekantipur(19 Mar)はこう書いている――

「ネパール外務省筋によれば,・・・・他の国々の館員たちも東京から他の都市に避難を始めているし,また,もっと重要なのは,日本政府が,外国使節や公館に対し,放射能被曝の警告を出したことである。」

これは本当だろうか? 前半の,諸外国が自国民に退避を勧告しているというのは,周知の事実である。では,後半は?

日本に大恩のあるネパールの外務省である。まさか,ウソではあるまい。もし事実だとすると,日本政府は,自国民には「安全」を強調しつつ,外国人には危険だから用心せよ,と警告していることになる。

まさか,そんなことはあるまい。ネパールの人々が,聞き違いをしているのだろう。そう信じたいが,日本政府の福島原発情報ががどこまで信用されているかとなると,そこは疑問であり,ネパール政府にそう受け止められても仕方ない状況にあることは,残念ながら事実である。

それはそうとして,ネパール大使館の大阪移転が上策かと問われれば,そうともいえない,と答えざるをえない。

周知のように,福井には14(13)基もの原発が林立している(図1)。しかも,ここは地震の巣で,京阪神は風下。危険は東京の比ではない。確率の問題だから,リスク判断はもちろん個々人,各国政府に任せざるをえないが,基本的条件は十分考慮すべきだろう。

要は,神(自然)の声を聞くか日本国政府や福井県(図2参照)の声を聞くかである。これは信仰の問題であり,個々人が自分で判断せざるをえない。

▼追加1(3月23日)
ネパール・メディアは報道しないが,東京のネパール大使館は再開されたらしい。フォローアップしないのも,ネパール・メディアの特技。事実の確認が難しい。そのくせ,パラス元皇太子は発砲などしていない,という「面白い」記事を各紙が競って報道している。いかにもネパールらしい。

▼追加2(3月24日)
ネパール大使館の大阪(名誉総領事館)への退避はやはり本当らしい。東京でもある程度業務を継続するかもしれないが,事態は混乱しており,よく分からない。一時,大使館と連絡が取れなかったのは,被災ネパール人救援と大阪退避準備で手一杯だったからだろう(cf. Nepal Mountain News)。

朝日(3月21,24日)や読売(3月23日)によると,東京からの退避大使館は次の通り。
  大阪へ: ドイツ,スイス,クロアチア,エクアドル,ネパール
  神戸へ: パナマ
  広島へ: フィンランド

朝日(24日)によると,23日現在,東京の大使館閉鎖は27カ国にのぼる。そのなかでも,やはりネパールは素早かったようだ。朝日も「アジア地域ではネパールのみとなっている」と賞賛している。

匿名で,しかもタイトルが間違っているが,生々しく具体的なので,下記記事を転載した。ご参照ください。

Nepali Embassy in Japan shifted to Tokyo

Posted by nmn, Nepal Mountain News, Friday, March 18th, 2011

Nepali Embassy in Japan has been moved from Tokyo to Osaka amid fear that radioactive materials released after powerful explosion of a nuclear reactor in Phukusima Daiichi Nuclear Power Station could pose health threats.

According to Foreign Secretary Madan Kumar Bhattarai, all embassy staffers are due to reach Oshaka Thursday evening.

“The Nepali embassy will temporarily conduct its operations from Oshaka,” he said. Osaka is some 520 kilometers away from Tokyo.

The decision of the Ministry of Foreign Affairs (MoFA) to move the embassy to a safer place comes after Western countries including Britain started evacuating their nationals from Fukushima Power Station.

Likewise, concerns are high in China and among Japan´s neighboring countries after top United States nuclear official claimed that damage to the Nuclear Power Station was far more serious than Japan had acknowledged.

On Wednesday, Nepali embassy in Japan had rescued some Nepalis living in Phukusima area and brought to Tokyo. Likewise, another 52 Nepalis, affected by earthquake and subsequent Tsunami in Sendai area, have also been brought to Tokyo.

Asked if the government had any plans to evacuate Nepali nationals from Japan, senior MoFA officials said they do not have any such plans as yet.

“Now the rescued Nepalis are free to do what they think is right since there is no problem of mobility as it was in Libya. We presume that they would not have problems purchasing air tickets,” the official further said.

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図1 福井原発地図
>(http://www.geocities.co.jp/Technopolis/6734/img/ritti0049.pdf#search=’福井 原発 地図’より作成)

図2 福井県HP

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2011/03/19 @ 11:49

カテゴリー: 社会, 外交

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