ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

人民解放軍統合,与党3党首合意

カナル首相(UML)が,マオイスト,マデシ人権フォーラム(MPRF)両党首と,平和構築への最大課題である人民解放軍(PLA)の処遇について,ほぼ合意した(Republica,2011-05-22)。実行できるかどうか微妙だが,なかなか大胆な提案だ。

PLAについては,すでに国軍(NA)が,NA指揮下に新たな部隊をつくり,そこにPLA戦闘員と政府治安要員(NAなど)を組み込む,という提案をしていた。3与党合意は,このNA提案を受け入れ,人員についてはPLAからは6~8千人とした。

PLAの本来のハードコア戦闘員は,もともと4~8千人と見られており,これはプラチャンダ議長もオフレコでは認めていた。したがって,6~8千人統合は妥当な数字といってよいだろう。

NA統合戦闘員以外の宿営所(cantonment)収用戦闘員は,除隊・社会復帰となる。宿営所収用戦闘員は約2万人(19,602人)だから,1万2千人~1万4千人が社会復帰。これら社会復帰戦闘員には,1人あたり50~100万ルピーが支払われる。かなりの額だ。

しかし,この提案については,マオイスト急進派が猛反対している。たとえば,モハン・バイダ(キラン)副議長は,これはパルンタール党大会決定違反だとして,反対意見を常任委員会に提出した(Republica,2011-05-22)。

しかしながら,このところマオイスト党内では,バイダ副議長らの急進派は劣勢となっている。バブラム・バタライ派(穏健派)とバイダ派(急進派)を両天秤にかけ,操縦していくプラチャンダ議長の政治的手腕は,たいしたものだ。このままいけば,PLAは二分され,6~8千人の中核部分がNAに吸収され,和平成立となる。

しかし,それで社会復帰を迫られる他の1万2~6千人が納得するか? また,毛沢東が言うように,「人民解放軍なくして人民なし」 を体験的に思い知らされてきたマオイスト支持「人民」大衆が,人民解放軍の解体を受け入れるか?

人民解放軍の国軍統合による和平実現,新憲法の制定となるかどうか? 難しいところである。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2011/05/24 @ 11:22