ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

エベレストに赤旗,プラチャンダ議長ご令息

ネパール共産党マオイストは,エベレスト(サガルマータ)に赤旗を立てることを,党目標の一つとしてきた。パンフレットのタイトルにもなっている。

マオイストはいまや政権与党だ。首相は統一共産党(UML)のカナル氏だが,実質的にはプラチャンダ議長が政権をコントロールしている。制憲議会3ヶ月延長のための5項目合意についても,カナル首相の即時辞任を求めるコングレス党(NC)に対し,プラチャンダ議長は,挙国政府合意が出来るまで,つまり当分の間,辞めなくてもよいよ,とカナル首相を全面的に支援している。

プラチャンダ議長は,カリスマ的指導者であり,人民に恐れられつつ愛されている。私も大好きだ。

そのプラチャンダ議長が,権力掌握の次に狙うのは,どうやらプラチャンダ王朝の創始らしい。エベレストに赤旗を立てるという名誉ある任務を息子のプラカシ(サカール)同志に託したのだ。もちろん赤軍(人民解放軍)が支援する。

プラカシ同志が赤軍を率い,世界最高峰エベレストを征服し,赤旗を頂上に立てることに成功すれば,象徴的にはネパール・マオイストが世界を征服したことを意味し,それを達成したプラカシ同志の権威は比類なきものとなる。権力は父から息子へ継承され,プラチャンダ王朝が始まる。

プラチャンダ議長が人民に愛されるのは,このようなあっけらかんとした天真爛漫さにある。陰湿に野心を隠そうとはしない。首相になれば,巨大ベッドを買う。集会では,国連に人民解放軍4万とふっかけ,2万人も認めさせた,本当は8千人なのに,と自慢話をする。そして,今度は息子に赤旗を持たせエベレスト征服に向かわせる。下心見え見えだが,とにかく万事ネアカで,憎めない。

やはり,ネパールを統治しうるだけの器量を持つ政治家は,プラチャンダ議長しかいないのではないだろうか。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2011/05/31 @ 11:13