ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

日ネ首相の玉虫競演

日本とネパールの政治行動様式が,急接近してきた。うり二つ,まるでカーボンコピーのようだ。

日ネの第1党,民主党とマオイストは,選挙になると議席減は避けられないので,いくら失政や内紛があろうが,解散だけは避けようとする。おいしい既得権益は絶対に失いたくないのだ。

ネパールでは,5月28日が制憲議会の期限だったが,29日早朝,与野党妥協により5項目合意が成立,お手盛り3ヶ月延長が議決された。

この5項目合意の目玉は,議会任期延長賛成と引き替えのカナル首相の辞任。ところが,苦し紛れの玉虫色合意であったため,辞任は「挙国政府のめどがついたとき」とされた。そのため,任期延長が議決されたとたん,「カナル首相は直ちに辞任せよ」と要求するNCに対し,カナル首相やマオイストは「挙国政府合意が出来るまで辞めなくてもよい」と反撃し,収拾がつかなくなった。人民戦争後の混乱で生活苦は募る一方だが,議員たちは既得権益が守られ,にんまりほくそ笑んでいる。

一方,日本でも,大震災,原発事故の国難をよそに,与党内紛,与野党乱戦が募り,とうとう野党が6月2日,菅内閣不信任案を提出することになった。可決を恐れた民主党は,菅・鳩山会談により3項目確認を交わした。
 ・民主党を壊さない。
 ・自民党政権阻止。
 ・復興基本法の成立,二次補正早期編成にめどをつける。

この3項目確認に基づき,菅首相は内閣不信任案採決前に退陣意向を表明,これにより民主党内反菅派が不信任案反対に回り,不信任案は否決され,衆院は解散を免れた。ネパールの議会任期延長の構図とソックリ。

そして,そのあとが,さらに傑作。菅首相は,不信任案が否決されると,辞任は「大震災への取り組みにメドがついた段階」,福島原発「冷温停止」後の2012年1月頃と述べ,早期辞任を拒否した。いやそれどころか,震災・原発事故対策にメドがつかなければ,辞任はもっと先になるかもしれない。カナル首相の言い分と同じだ。

野党や民主党内反菅派は,もちろんカンカンに怒っている。不信任案採決までは辞めるといい,否決されると辞めないと開き直る。このやり方に対し,山本議員(自民)は「詐欺」「ペテン」だと菅首相を激しく罵倒した。またコケにされた鳩山議員(民主)も,「ペテン師まがい」と怒りをぶちまけている。

いまや,日ネ政治の行動様式は,ソックリ同じ。両国とも未曾有の国難なのに,与野党の低次元な乱戦や内紛で政権運営に行き詰まり,せっぱつまって玉虫色妥協でその場しのぎをする。しかし,もともとその場しのぎなので,目先の危機がすぎると,たちまち玉虫の色定めで再び乱戦・内紛に立ち戻る。

日ネ両国,あまりにも似すぎていて,恐ろしいくらいだ。ただし,日本にはプラチャンダ議長のようなカリスマ政治家はいない。つまり,いまや日本政治の方がネパール政治よりもはるかに卑小だということ。残念ながら。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2011/06/03 @ 23:27

カテゴリー: 議会, 民主主義

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