ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

「テロリスト」首相に祝意表明,リアリスト米国の凄さ

ネパール・マオイストは,米国にとって「対テロ戦争」のターゲットの一つであったし,2004年にはカトマンズの「アメリカン・センター」が爆破されてもいる。現在もなお,マオイストは「世界テロリスト・リスト」に掲載され,ばりばりの現役テロリストである。米国にとっては。

しかし,それはそれ。リアリスト米国は,テロリスト政党No.2が首相に選出されると,スコット・デリシ駐ネパール大使にいち早くバタライ氏を訪問させ,首相当選を祝わせた。また,国務省のV.ヌランド報道官も,マオイスト副議長の首相当選を祝い,米ネ関係の更なる発展への期待を表明した。

米国国章は,ワシが両足で矢とオリーブを握っているデザイン。別の解釈もあろうが,一番分かりやすいのは,戦争か平和か。エゲツナイ,露骨ともいえるが,こうあからさまに開き直られると,すっきりし,スガスガしくもある。共産主義テロリストとだって,国益にかなうなら、いつでも取引しますよ,ということ。

このようなドライなリアリズムが,ウェットな日本外交には欠けている。2009年2月,バタライ氏が蔵相として来日したとき,歓迎の席でマジで「マオイストは嫌いだ」とのたまった御仁がいたそうだ。そんなことを言って何になるのだろう。米国務省で外交初歩研修を受けるべきではないだろうか。

* ekantipur & Republica, Aug31.

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2011/09/02 @ 12:18

カテゴリー: マオイスト, 外交

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