ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

没収財産返却、バタライ首相

バタライ首相の評判は、今のところ、かなり良い。インド寄りとの懸念を除けば。

そのバタライ首相が、人民戦争中に没収した財産を3か月以内に返却すると発表した。マオイストからすれば、これまで幾度も宣言して実行できなかった難問だ。

人民戦争は、不在地主、悪徳高利貸しの打倒を目的の一つとして戦われた。貧困農民にとって、実際には耕地没収配分、借用書焚書は、革命の目に見える最大の成果であった。

たしかに不労地主、不在地主――中には「犬」地主や「牛」地主もいた――には正義はない。高利貸しにも正義はない。没収されて当然だ。「耕地を耕作者に!」こそ、革命のもっとも魅力的なスローガンであった。

それなのに、没収地を「犬」地主や「牛」地主に返すという。農民は犬や牛の小作人に逆戻りするわけだ。

「所有権の絶対」などといった資本主義のお念仏に、マオイストは屈するのか? 帝国主義総本山アメリカですら、日本地主の土地没収を強行したではないか。わが家の没収土地を返せ! 

米印は、ネパールに資本主義を押し付けた手前、「所有権の絶対」を唱えざるを得ない。米印は、地主や高利貸しの味方なのだ。

バタライ首相は、印大国主義から学んだ学識を総動員して、マルクス主義=毛沢東主義の罰当たりな唯物論を廃棄し、「所有権絶対」信仰にマオイストを改宗させるつもりらしい。資本主義もマオイズムも信仰。どちらの神がよいか。それともヒンズーの神々や仏教の方がよいのか?

近い将来、世界を破滅させ、人類を「最後の審判」」の場に引き出すのは、まず間違いなく資本主義教である。バブラム首相の米印資本主義への改宗に展望はあるのか? 難しいところだ。
インドラチョークのバタライ首相

(c)谷川昌幸

Written by Tanigawa

2011/09/11 @ 12:34

カテゴリー: マオイスト, 人民戦争

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