ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

ルンビニを国際平和都市に,プラチャンダの野望

1.政治家プラチャンダの野望
プラチャンダ議長が,世界政治の檜舞台に立とうとしている。権力欲は政治家の本性であり,プラチャンダ議長が世界的政治家への野望を抱くことは決して悪いことではない。

2.プラチャンダ訪米の目的
すでに紹介したとおり,プラチャンダ議長は,中国系NGO「アジア太平洋交流協力基金(APECF)」の共同議長であり,またネパール政府「ルンビニ開発国家指導委員会」の議長(委員長)でもある。

そのプラチャンダが,ネパール政府ルンビニ開発委員会議長として訪米し,パン・キムン国連事務総長,オバマ大統領,クリントン国務長官らと会談,ルンビニ開発への協力を要請することになった。

またプラチャンダの法螺話かと思われるかもしれないが,決してそうではない。プラチャンダは,APECFの共同議長であり,また自らが果敢に決断し成立させた「和平7項目合意」の手土産もある。さらに,隠し球は,対印牽制。これは凄い,スゴすぎる! やはり,プラチャンダは大物だ。

3.素性不透明のパトロン,APECF
ルンビニ開発のパトロンは,APECF。素性不透明の中国系NGOだが,すでにルンビニ開発に30億ドル拠出を表明しており,現地ルンビニにも覆面調査団を何回もだし,下調べを終えている。また,APECFの実質的運営者と思われるXiao Wunan執行共同議長は2ヶ月前,オーストラリアでパン・キムン国連事務総長と会い,ルンビニ開発について説明,よい感触を得たという。

APECFは,中国の仏教団体を中心に,開発資金を募ることにしている。

■国際ルンビニ開発委員会  議長:パン・キムン国連事務総長(予定),実行委員長:プラチャンダ(予定)
■APECF  執行共同議長:Xiao Wunan,共同議長:プラチャンダ
■ルンビニ総合開発国家指導委員会  議長:プラチャンダ

この希有壮大なルンビニ開発構想は,すでにネパール政府のプロジェクトになっており,「国際ルンビニ開発委員会」が成立したら,APECFもその中に組み込むことになっている。

4.「国際平和都市」ルンビニ
プラチャンダは,抱負をこう語っている。

「ゴータマ・ブッダは,平和のシンボルとして世界中で尊敬されている。われわれは,地球上のあらゆる紛争を解決するためのセンターとして,ルンビニを開発したいと願っている。・・・・ニューヨークに行くのは,ルンビニを国際平和センターとするためである。」(Republica, Nov4)

5.現実主義者プラチャンダの成算
ルンビニを「国際平和都市」に! これはプラチャンダの観念的夢想ではない。国際的な権力関係と利害関係,および地政学的な計算に加え,国内の利害関係へも十分目配りし,さらにはプラチャンダ一族の利益もちゃっかり図りながら,彼はこのルンビニ開発計画を進めていくつもりなのだ。

国連と米中には「平和構築」の大義名分,内外企業には開発利益,そして国内の有象無象には目もくらむばかりの巨大利権配分――誰にも反対の理由はない,インドを除けば

もし目論見通り,プラチャンダ訪米団がパン・キムン国連事務総長,オバマ大統領,クリントン国務長官らと会談し,たとえ大筋だけであってもルンビニ開発への賛同が得られたならば,プラチャンダは,世界的政治家の仲間入りを果たし,そして新憲法制定後の新生ネパール共和国(大統領制移行予定)の初代大統領となるであろう。民主ネパールの建国の父プラチャンダ! ノーベル平和賞も夢ではない。

* Republica, Nov4, Peoples Review, Nov3.

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2011/11/04 @ 20:41

カテゴリー: インド, 経済, 外交, 中国

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