ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

国連に赤旗,プラチャンダの勝利

われらがプラチャンダ議長が,国連訪問の所期の目的をほぼ達成,世界的政治家の仲間入りを果たした。めでたい。

1.国連事務総長,ルンビニ開発支援を約束
11月8日,プラチャンダは,ネパール政府ルンビニ開発委員会(HLNSC)委員長としてパン国連事務総長と会見,彼に,3月開催予定の国際ルンビニ開発会議への出席と,「国際ルンビニ開発委員会」議長への就任を要請した。

パン事務総長は,3月の国際ルンビニ開発会議への出席と,ルンビニ開発への政治的・精神的支援を約束した。

「国際ルンビニ開発委員会」については,ルンビニ開発応援団の「リパブリカ」は,1ヶ月以内にパン事務総長を長とする「国際ルンビニ開発委員会」が発足すると報道しているが,他紙はそこまでは断定していない。おそらく,議長就任の明確な言質まではとれなかったが,受諾してもよいというニュアンスの回答は得たのであろう。

2.国連に赤旗
プラチャンダは,エベレストに赤旗を立てるとホラを吹き,実現した。次に,世界に赤旗を立てるとホラを吹き,これもまた実現した。

プラチャンダは,アメリカがテロリスト監視集団に指定している(2011年10月現在)マオイストの親分である。ネパール政府HLNSC議長などという肩書きはほとんど知られていない。彼は,世界最強の現役暴力革命主義政党マオイストの党首であり,「勇猛なプラチャンダ」として恐れられている。そのプラチャンダ党首の要請を,パン事務総長はほぼ丸呑みした。プラチャンダは,国連に赤旗を立てたのだ。

3.ブラーマン仏教平和主義
プラチャンダが,ヒンドゥー教と距離を置いてきたことは,事実である。首相の時,ヒンドゥー教伝統儀式には出席しなかったし,つい最近の実父の葬儀でも重要なヒンドゥー教儀式を回避した。

しかしながら,プラチャンダがヒンドゥー教の最高カースト,ブラーマン(バラモン)に属することは明白な事実である。

そのブラーマンたるプラチャンダが,唯物論共産主義政党の党首として,仏教を万人の拝跪すべき平和主義として喧伝し,仏教聖地ルンビニを「世界平和都市」としようとしている。そして,その「ブラーマン仏教平和主義」を,キリスト教徒の国連事務総長が全面的に支援する。そこに,仏教徒はいない!

世界には,キリスト教,ユダヤ教,ヒンドゥー教,神道,無宗教など,様々な立場の人々がいる。その全世界を代表すべき国連が,仏様(仏像)の前で,本来の仏教徒を無視し,世界平和式典を主催あるいは共催してよいのか?

私は,生まれながらに仏教徒であり,道元なども少々かじり,仏教は立派な宗教であると確信している。しかし,それだからこそ,マオイストによる仏教の政治的・経済的利用は許せない。もしマオイストがマオイストなら,堂々とマオイズムの立場から,あるいは非宗教的立場から,平和思想を構築し,それに沿って平和運動を展開すべきだろう。

4.偉大なプラチャンダ
むろん,そんなことは十二分にわかった上で,われらがプラチャンダは,仏教を政治的に,また経済的に,利用しまくっている。いや,国連までもが,プラチャンダに引きずり回されている。

やはり,プラチャンダは偉い。

* Republica,Nov.9&10; Nepalnewscom, Nov.8&9; ekantipur, Nov.9; Rising Nepal, Nov.10.

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2011/11/11 @ 11:15