ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

土地返却とPLA解体,マオイスト反主流派劣勢

このところ,予想外に,バイダ副議長,タパ書記長らのマオイスト反主流派が劣勢だ。

1.土地返却
マオイストの大義中の大義「耕作者の土地」の地主への返却が始まった。ekantipur(Nov25)によると,バルデヤ郡の農民28人が土地30ヘクタールを地主のBD.チャンド氏に返却させられた。立ち会ったのは,マオイスト・NC・UML各代表,地方行政府代表ら。

地主のチャンド氏は,紛争中は,地代(年貢)を全く受け取れなかったが,和平成立後,ようやく収穫の1/3が受け取れるようになったという。バルデヤ郡では,600haが没収されており,244人が返還請求中。

それにしても,チャンド一族は30ヘクタールもの農地を持ち,28人に小作をさせている。現在はカトマンズ在住。マオイスト理論からすれば,封建地主の見本のような家族だ。その不在地主に,マオイストも立ち会い,土地を返却させた。和平成立後の年貢1/3も,おそらく元の1/2に戻されるだろう。

マオイストは本気だろうか? それとも,象徴的なセレモニーにすぎないのか?

2.人民解放軍解体
人民解放軍(PLA)の解体も,予想外に順調に進んでいる。

先の「7項目合意」で,PLAの国軍統合人員は6500人以内と決められた。他は社会復帰。このPLA解体案に従い,現在,駐屯地収容戦闘員の組み分けが進められている。明日,27日に完了予定。

戦闘員の組み分け(11月25日現在)
国軍統合希望 5,254人; 給付金支給希望 3,777人; 計 9,031人

国連認定戦闘員は約1万9千人だから,あと1万人ほど残っているが,駐屯地にはそれほどはいないらしい。かなりの戦闘員が,駐屯地から抜け出し,どこかで何かをしている。マオイスト幹部が,早く戻れと命令しているが,さて,何人戻るか?

いずれにせよ,国軍統合枠6500人に対し,応募5254人だから,「脱走兵」が大挙原隊復帰しなければ,PLA解体は順調に進むことになる。

3.劣勢のマオイスト反主流派
このように,バイダ副議長,タパ書記長らのマオイスト反主流派は,いまのところ劣勢だ。これで,もし制憲議会が6ヶ月延長されれば,マオイスト体制派(既得権益享受派)は万々歳であり,「反革命」がさらに進行するであろう。

ひょっとして,王政復古となったりして。

【参照】没収地返却拒否,マオイスト反主流派
没収財産を返却せよ,プラチャンダ議長
和平7項目合意成立,プラチャンダの決断

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2011/11/26 @ 11:32