ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

危険なIC免許証,暗証番号の無効化を

現状報告(2016年12月21日追加)
免許証暗証番号制は,事実上破綻,すでに暗証番号入力は不要とされている。参照:免許証暗証番号,百害あって一利なし(2016/11/09)

——–≪以下,2011年12月28日投稿記事≫——–

1.暗証番号の無効化
運転免許証を更新したら,IC免許証となり,8桁の暗証番号の設定を要求された。なぜこんなものが必要なのか,まったくもって不可解?! 直ちに,暗証番号を無効化した。方法はカンタン。誤番号を3回入力すればよい――  

  (例)1100 1100  3回入力 →→ 無効化完了

これで,少なくとも,8桁もの暗証番号を5年間も記憶する精神的負担からは解除される。

 IC免許証見本(石川県警HP)

2.IC免許証の導入理由
こんな市民にとって何の利益にもならないIC免許証を,なぜ採用したのか? 警察は次のように説明している。

・偽造防止  「ICカード免許証は、偽変造免許証の作成が極めて困難であり、不正使用を防止できます」(警視庁HP)
・身分証明用  「将来、金融機関等でIC免許証を身分証明書として利用する際に、ICチップに登録された内容を確認するため、暗証番号の入力を求められることが考えられます」(新潟県警HP)  

この2つが,IC免許証に切り替え,しかも暗証番号まで設定する理由。警察でいくら尋ねても,これ以上の説明はない。完全にマニュアル化され,身分証明用としていかに安全・便利かが,繰り返されるだけ。まるで銀行かサラ金の代理店のようだ。

3.立証責任の転換
このIC免許証の危険性は,まず第一に,立証責任の企業から顧客への転換に認められる。免許証は,これまでも身分証明用として利用されてきたが,本人確認の責任は銀行など確認する側にあった。不注意で騙されたら,その責任は銀行などにある。

ところが,IC免許証となり,暗証番号入力で本人確認ということになれば,悪用されても,本人の暗証番号管理責任がまず問われることになり,よほどの落ち度がない限り,銀行などは免責されてしまう。

一方,市民の側は,8桁もの暗証番号の記憶はおよそ不可能だから,手帳に書いて持ち歩くか,メモに書き通帳などと一緒に保管することになる。これがいかに危険かは,いうまでもない。

IC免許証は,銀行などの立証責任を免除ないし軽減し,それを本人に押しつけるためのものに他ならない。こんな反人民的,反庶民的な悪巧みを容認してはならない。

4.身分証明機関としての警察と営利企業の連携
次に注意すべきは,身分証明業務が事実上,市役所等から警察に移行すること。あっけらかんと警察自身が認めているように,IC免許証採用の理由の1つは,身分証明用としての利用拡大である。換言するなら,警察が市民の身分証明機関へと大変身するためである。

暗証番号照合機に入力すると,免許証情報(顔写真・本籍など)が,このようにバッチリ表示される。

 (警視庁HP)

暗証番号照合機は,今後,銀行など各所に設置されるそうだから,免許証を紛失したら大変なことになる。

いや,それどころではない。こんな企業にとって好都合なものを,目ざとい企業が見過ごすはずがない。すでに,恐ろしいことが始まっている。

IC運転免許証を活用した本人確認サービス(NTT)
 “株式会社NTTデータは、2010年9月27日より、IC運転免許証を活用した本人確認サービス「BizPICOTM(ビズピコ)」の提供を開始します。/「BizPICO」は、IC運転免許証のICチップ内の情報を利用して、免許証の改ざん確認や証跡情報の保管など、企業における本人確認業務に必要な機能をクラウドサービスで提供します。/NTTデータでは、本サービスの提供を通じて、行政機関での手続き、銀行口座の開設、携帯電話の契約など、確実な本人確認が求められる業務をサポートします。”(http://www.nttdata.co.jp/release/2010/092700.html)

 (NTTデータHP)

このビズピコが普及すれば,本人の情報が雲中(クラウド)に召し上げられ,企業が自在に利用し尽くすことになる。これをみると,警察=NTT(営利企業)が連携してIC免許証事業を推進しているのでは,と邪推したくもなる。

5.警察監視社会
そして,絶対に見落としてはならないのが,IC免許証は非接触式であり,離れたところからでも,その記載情報を読み取れるということ。これは警察自身が堂々と(平然と)認めている。

「暗証番号を設定しなかった場合は、ICカード読み取り装置を持っている人が、至近距離(約10㎝)まで近づくとICチップ内の個人情報が読み取られるおそれがあります」(新潟県警HP)。

すでに現在でも,IT技術さえあれば,電車内などで他人の免許証情報を盗み取りすることは可能なのだ。しかし,本当に10cm以内なのか? 専門家によれば,すでに10m先くらいまでは可能だそうだし,ちょっと頑張れば,100m先でも可能になるのではないだろうか?

もしそのようなことになれば,本籍・顔写真付きの免許証情報を,本人に全く気づかれることなく,密かに収集,蓄積し,行動の一部始終を監視し,分析することも可能となる。

さらにそれがGPSと組み合わせられると,もう万全,市民は丸裸だ。人々の行動が,地図上で完全に捕捉され,いつ,どこで,誰が,誰と会ったかまで,バッチリ記録され管理される。

アメリカなどでは,性犯罪者にGPS監視装置がつけられ,その行動が四六時中監視されている。顔写真や経歴も公開されているそうだ。日本のIC免許証は,その種のGPS市民監視装置となる恐れがある。

6.素晴らしき新世界へ
IC免許証に切り替わり,暗証番号照合機やビズピコが普及していけば,21世紀の「素晴らしき新世界」が実現するかもしれない。

  警察監視管理社会,万歳!

これは,IT素人・文系人間の根拠なき邪推,突拍子もない杞憂にすぎないのだろうか?

谷川昌幸(C)

——– 【追加 2011.12.29】 ————————————————————————————– 

[1] ICカード免許証チップ記載内容確認パッケージ(NECネッツエスアイ)
 “ICカード免許証ICチップ記載内容確認パッケージでは、既存のPCに周辺機器を接続し、アプリケーションをインストールすることで、免許証のICチップ内に記載された内容を読み取ることができます。/本籍を確認したいが、ICカード免許証の所有者が本籍を忘れている。また、申請した本籍が正しいか確認したい。→ICチップの情報を確認することで住民票を取り直して頂く必要がありません。”

“ICカード免許証の表面のイメージのまま画面に表示します。/写真の情報も表示します。/ICチップ登録されている外字を組み込んで表示します。/JIS78,JIS90の文字形式の違いも正しく判断し表示します。”(NECネッツエスアイ http://www.nesic.co.jp/solution/product/ap/ic.html)

[2] 金融機関の本人確認業務の効率化を実現するシステムを販売開始(大日本印刷)
 “大日本印刷(DNP)とDNPの100%子会社で運転免許証用機器の開発・販売・保守を行う、DNPアイディーシステムは、IC運転免許証および住民基本台帳カードのICのデータを読み取り、そのカードの真贋判定を行うシステム「本人確認マルチカードスキャナ」の販売を本年6月末に開始する予定です。「本人確認マルチカードスキャナ」には、ICデータの読み取りと同時にカードの表裏券面をスキャンする機能があるため、スキャン画像を活用して業務負荷を軽減することもできます。” “DNPは試験的な取り組みとして、みずほ銀行の一部店舗へ本システムを提供・設置し、本人確認業務の効率化の効果を確認しています。また、金融機関以外の本人確認を必要とする事業者などへ本システムの販促を行い、2010年度で1億円、3年間で約5億円の売上げを目指します。”(http://www.dnp.co.jp/news/1215925_2482.html)

[3] 非接触ICカード運転免許証による認証ソリューション(オレンジタグス)
 “オレンジタグスでは既にトラック運転手の本人確認・勤怠管理、飲酒検査などで実績をもっており、今後、さらに幅広い分野での利用を想定している。企業・地方自治体や金融機関での本人確認、飲酒・タバコ、年齢、未成年などの管理、自動車や自転車の資産管理、貸出管理、盗難防止など幅広い分野での個人認証ソリューションとして考えている。”(http://www.value-press.com/pressrelease.php?article_id=86004)

——–【追加 2012.08.10】 ————————————————–

山口県警HP
IC運転免許証の「暗証番号」について
○ 暗証番号を忘れないよう暗証番号の記録紙を大切に保管しましょう。
 IC運転免許証の「暗証番号」は、ICチップ内のデータを読み取るときに必要なものです。
 市町や銀行など民間の窓口において、IC運転免許証を身分証明証として活用する場合に、「暗証番号」の入力が必要な場合があります。
 「暗証番号」を忘れないよう、IC運転免許証交付時にお渡しした「暗証番号」の記録紙を大切に保管してください。
   (ゴチック引用者追加。http://www.police.pref.yamaguchi.jp/0440/menkyo/menkyo_ansyou.html)

——–【追加2012.08.19】—————————————————-

住民基本台帳カード交付における本人確認方法等が23年2月1日から変わりました。  (東京都中央区)
偽造された運転免許証を提示し、本人になりすまして住民基本台帳カードを不正取得する事件が都内等で多発していることを踏まえ、同カードの交付の際の本人確認の徹底を図るため、その確認方法を平成23年2月1日から下記のとおり変更いたします。
本人確認書類の種類(有効期限内のものに限る)
(1)ICカード運転免許証(暗証番号を入力できる場合) 
 (注)暗証番号を入力できない場合は、下記(1)非ICカード運転免許証と同様の取扱いになります。
確認方法等
ご本人に暗証番号(4桁×2種類)を窓口で入力していただき、運転免許証の券面記載事項とICチップに記録された情報を照合いたします。(暗証番号を忘れた場合は、警察署にお問い合わせください。)
      http://www.city.chuo.lg.jp/kurasi/toroku/honninkakunin/index.html
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【参照】
新しい運転免許に追跡可能なチップを埋め込こんでますが、なぜ国民は反対しない
電子タグ廃棄システムの開発に関する調査・研究報告書
勝間和代:社会保障番号の導入
デジタル・プライバシーの危機
情報支配社会における電子住民カードの意味とその危険性
共通番号及び国民IDカード制度問題検討名古屋市委員会意見書
「国民番号制度」の導入は開かれた社会の実現へ向けた第一歩

谷川昌幸(C)

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Written by Tanigawa

2011/12/28 @ 16:13