ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

プラチャンダご令息のエベレスト計画,頓挫

プラチャンダ議長のご令息プラカシ氏が,他のマオイスト同志10人と「ルンビニ・サガルマタ平和隊2012」を組織し,エベレスト(サガルマタ)登頂を目指すことになった。世界最高峰に赤旗がひるがえるのは壮観であり,はるか下界にルンビニのパン国連事務総長見下ろす,というその心意気は諒としたい。さすが,英雄プラチャンダ議長のご令息だけのことはある。

マオイスト政府も,この登山計画を高く評価し2千万ルピーの国費支援をすることにした。ネパールの「輝ける道」(「プラチャンダの道 Prachada Path」ともいう)がエベレストに達する記念すべき事業だから,これも当然だ。

ところが,どこにでも了見の狭い小人はいるもので,プラカシ登山隊への国費支出に対し,ねたみ,ひがみタラタラ,NC,UMLなどから文句が噴出した。また,栄光登山から外された身内のYCLからも,恨み節が聞かれ始めた。

NC系学生団体NSUにいたっては,いやがらせに支援キャンペーンをやり,2千万ルピーを集め,登山隊に寄付するという。まるで,漫画のような抗議運動だ。

もし登山隊の先頭に立つのがプラチャンダご本人なら,そんなひがみ,ねたみなど意に介さず,NSUが2千万ルピーくれるというのなら,「はい,ありがとう」といって受け取り,国費2千万ルピーと合わせ,豪勢にエベレスト登山をするだろう。豪華であればあるほど,箔がつく。

この「世界に輝けるネパール」を目指すプラチャンダ人民王に対し,首相のバブラム氏は、有能ではあるが,民草の1人にしかすぎない。ちまちま世俗的な心配をし,公用車にはネパール国産ムスタン車を使用,国連出張にもエコノミーを利用する。しかし,小国首相(実質的元首)がエコノミーを使用したら,貧乏くさく,惨めなだけだ。お金が無いのだな,おかわいそうに,と同情を引くだけ。

これに対し,エベレストに赤旗を立て,矮小資本主義諸国を見下ろし,国連をもひれ伏させることを目指すのがプラチャンダ登山隊――希有壮大,夢がある。2千万ルピーくらい,安いものだ。

ところが,残念ながら,登山隊を実際に率いるのはプラカシ人民皇太子。世間の批判にたじろぎ,たちまち腰砕け,国費2千万ルピーを辞退してしまった。こりゃダメだ。登山はするであろうが,私費と国費では重さが違う。そこのところが,人民皇太子には分かっていない。が,2代目だから仕方ないだろう。

■”Govt decision to aid Dahal son’s Everest team draws flak,” ekantipur,MAR 16
■”Dahal son’s Everest team to get crores,” 2012-03-17,HIMALAYAN NEWS SERVICE
■”Frugal PM Gives Rs 20m For Maoist Everest Bid,” myrepublica.com, March 17
■Binod Ghimire,”Country outraged by ‘birth of new princelings’,” ekantipur,MAR 18
■”NSU collects symbolic donation for Dahal’s son,” ekantipur,2012-03-18 04:35
■”Dahal’s son to reject govt’s aid,” ekantipur, MAR 18

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/03/19 @ 10:51