ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

解放としてのインフラ建設

「コンクリートから人へ」と高らかに宣言したものの、政権を取ると、民主党も早々とコンクリートに回帰した。コンクリート、あるいは一般にインフラ建設は文明の具象化であり、その魅力は自然な「人」にはるかに勝る。

というわけで、日本三大秘境のわが丹後にも高速道路がつけられ、間もなく完成すると、自宅から5分で高速に入り、2時間あまりで京都・大阪・神戸まで行くことができる。高校生の頃、バスと汽車で1日がかりで京都に出かけたのがウソのよう。

村も周辺の町も、どことなく活気づいている。大型商業施設や有名電機量販店などが開業し、都会並みの文明生活ができるようになった。

ネットも自在。光通信もよいが、私はデータ通信端末を使用している。ケイタイとほぼ同じ大きさ。村でもどこでも使用でき、料金は光通信より安いくらいだ。日本の秘境世界の秘境ネパールの新聞を読み、メール交換する。夢のような「素晴らしき新世界」の到来。これもあくなきインフラ建設のおかげだ。

これらインフラ建設は、一言でいえば、「交通」や「交換」の効率化により閉ざされた「秘境」を開くものだ。秘境育ちの私にとって、それらはまさしく光明であり、解放であり、自由であった。コンクリートこそが、文明なのだ。

小学生のころ、遠足は、昔からの交易路の「大内峠」を越え、内海の「阿蘇海」の浜辺で弁当を食べ、日本三景の一つ「天の橋立」まで行くのが恒例。一日がかりの文字通りの「遠足」だった。ところが、高速道路が完成すると、その大内峠の下をぶち抜き、10分もあれば天の橋立まで行けるだろう。自然の制約からの解放。偉大なコンクリート、万歳!

また、先の平成の大合併では、ピカピカの豪華ハコモノがいくつも建設された。使用しようがすまいが、ハコモノは、存在自体が丹後の秘境からの解放の象徴である。ハコモノ、万歳!

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/05/03 @ 09:31

カテゴリー: 社会, 経済, 文化

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