ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

新憲法枠組み玉虫合意

5月15日、主要4党が新憲法の基本枠組みに合意し、UMLの「挙国」政府参加と期限内新憲法制定が実現する運びとなった。まずはめでたい。

1.4党合意
■UML「挙国政府」参加
 ポカレル書記長が副首相として入閣

■統治機構
 大統領:国民直接選挙
 首相:議会選出
 国権の最高機関:議会 → 首相が大統領よりも大きな権限を持つ。

■議会
 連邦議会:376
      下院:311(小選挙区171、比例区140)
      上院:65(州議会選出5×11=55,内閣推薦により大統領任命10)

■州:多民族州、各民族平等

2.大統領と首相
この4党合意は、いつものように、苦し紛れの玉虫色合意である。第一に、大統領と首相の関係。国権の最高機関は議会であり、議会選出の首相の方が大統領よりも大きな権力を持つことになっているが、間接選挙の首相に対して大統領は直接選挙、うまくいくのだろうか。

大統領制は、いわば「選挙王制」であり、運用は難しいが、国家・国民の統合には便利である。玉虫色とはいえ、結果的には、今のネパールにとっては賢明な選択といえなくもない。

3.連邦制
もっと難しいのが連邦制。玉虫そのもので、「民族州」のような、そうでないような、よくわからない合意である。

「民族」によって州区画を要求しているのは、マデシ諸派やジャナジャーティ。反対がNCとUML。最大与党のマオイストは、バイダ派など急進派が「民族州」要求、プラチャンダ=バブラム主流派が日和見。結局、決着がつかず、どうとでもとれる玉虫色表現となった。

その結果、早くもマデシ諸派が11州案に異を唱え、14州にせよなどと要求し始めた。

4.マオイストが住民集会攻撃
「民族州」紛争の中心は極西部。「民族州」反対派住民がバンダ(ゼネスト)を開始し、19日目となった。交通遮断、官庁・学校・商店など全面閉鎖。これはすごい。電力15%カットなど、彼らにとっては天国での茶飲み話としか思えないだろう。

この極西部で、あろうことかマオイストが「民族州」反対住民集会を襲撃し、多数の負傷者を出した。労働者・農民の党マオイストが、最貧困地域の人民集会・住民集会を攻撃するとは!

理念政党が権力をとると、いかに恐ろしいか。左も右も同じこと。左は立ち枯れ、右がやたら元気なニッポン。ネパール政治から学ぶことは少なくない。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/05/16 @ 12:25