ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

暫定憲法第12次改正

暫定憲法第70条が5月19日、制憲議会(CA)において賛成533、反対3の圧倒的多数を以て改正された。2007年制定から5年間で12回目の改憲、日本改憲派にとってはうらやましい限りであろう。

この改憲が日本改憲派の良いお手本になるのは、新憲法制定のための手続き規定を改正した点。現行憲法通りやるのは難しいので、手続き規定をユルユルに改定し、これにより新憲法を一気に通してしまうという大胆な妙案。改憲したくてもできず日々、悶々と悩んでいる日本改憲派にとっては、大いに勇気づけられる先行事例だ。

改正前の暫定憲法第70条および関連法令によれば、新憲法案の提出後、改正手続きに少なくとも2か月はかかる。あるいは、議員がその気になれば、それすら無限に引き延ばすことも可能だ。その一方、最高裁は5月27日を新憲法制定期限とし、これ以上の議会延長は認められない、と判示している。あと1週間しかない。いよいよ切羽詰り、新憲法制定手続きの改定という奥の手を出したわけだ。

改正前の規定では、新憲法案は、各党による検討22日間、その後、各条文ごとにCAで審議し、2/3の多数で可決していく。国民的合意のため、あるいは包摂参加民主主義の理念に忠実であるためだが、これは実際にはおよそ非現実的。結局、こりゃダメだ、ということで、手続き規定の改正となったわけだ。

極端は極端に振れる。改正後の手続きは、革命的に甘い。新憲法案は、現議員(594)の2/3以上出席のCA本会議において、2/3の多数を以て丸ごと一発採決される。

これは乱暴な。そして、これまた日本改憲派にとっては大いに参考になる。改憲案を逐条審議すると、第9条は到底改悪できない。そこで、環境権やら地方主権やらと一緒に9条改悪をも含む改憲案を提出し、まとめて一括採決することにしてしまう。これは名案だ。

ネパールは、憲法の理論と実践において、日本のお手本である。ネパールから改憲支援顧問団を招きたいくらいだ。

●参照
2012/04/22 憲法制定手続きの改正
2012/04/19 暫定ミニ憲法制定の陰謀

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/05/21 @ 08:25

カテゴリー: 議会, 憲法

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