ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

暫定憲法第13次改正

日本改憲派にとっては、ネパールは垂涎の的。なんと、暫定憲法第12次改正のわずか3日後、われらのマオイスト政府は敢然と第13次改憲案を提出した。今度は第64条の改正。制憲議会(CA)の任期を3ヶ月延長するという案だ。いやはや、すさまじい。

現行CA任期は、5月27日まで。新憲法制定がその任務だ。ところが、現状では、とても間に合いそうにない。どうするか? 3案が検討された。

(1)合意できている部分だけをまとめ、骨格だけの新憲法を作る。この新憲法により新議会を構成し、各条文を審議し追加していく。

この案は、以前からインド(RAW)が密かに根回ししていたとウワサされていた。インドに骨格を作ってもらい、ネパール議会がそれに肉付けをしていく。名案だが、骨がらみになる恐れあり。

(2)CAの任期延長。これはもちろん任期延長禁止の最高裁判決の無視であり、「法の支配」「立憲主義」「司法の独立」に反する。議会の権限逸脱。マオイスト提案であり、NC,UMLは反対。

(3)留保付きCA任期延長。NCとUMLに譲歩し、いくつかの留保をつけ、任期3ヶ月延長という案。

これら3案が検討され、結局、第3案の留保付き任期3ヶ月延長案の提出となったが、その肝心の「留保」が、報道を見る限りでは、よくわからない。一つは、5月27日までに新憲法が制定できなければという留保らしいが、そうならあまりにもシラジラしい。

もう一つは、3ヶ月延長といっても、全力で取り組み、できるだけ早い時期に新憲法を制定し任期を終了する、という留保らしいが、これまたシラジラしい。

いずれにせよ、この憲法第13次改正案は、おそらく採択されるであろう。600人もの議員団は、ネパール国内の小さな「民族」よりも大きい。アイデンティティ政治の原理に則れば、議員団も、当然、固有のアイデンティティをもつ「集団」であり、したがって「集団としての権利」をもつ。「議員民族」、あるいは古風な言い方をすれば「議員カースト」の自治である。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/05/23 @ 21:16

カテゴリー: 議会, 憲法, 政党

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