ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

制憲議会延長停止命令,首相・法相には出廷命令

2011年11月25日の制憲議会延長禁止判決を無視され,頭にきた最高裁は,25日,政府に対し制憲議会任期延長のための改憲手続きの停止を命令し,また「法廷侮辱」で訴えられたバブラム首相とシタウラ副首相兼法務大臣に対しては出廷を命令した。議会審議を停止させ,現職の首相と副首相兼法務大臣を法廷で裁くというのだから,これまた大胆な。最高裁(法曹カースト)には,南方の強力な応援団か何かがついているのだろうか。

この最高裁命令により制憲議会任期延長は困難となり,残された選択肢は,(1)27日までに骨格憲法制定,(2)国民投票,(3)選挙,(4)非常事態宣言,のいずれかとなった。

(2)と(3)は難しいとすると,やはり(1)の可能性が大だ。肉なしの要綱骨格憲法,インド骨がらみ憲法の制定だ。あるいは,非常事態宣言により大統領か誰かの委任独裁に移る可能性もあるにはあるが,これは危険すぎる。おそらく,これから2日間で骨格だけの簡略な憲法を制定し,これにより最低限の法的・政治的正統性をぎりぎり確保し,問題解決を先送りする方法が採られるだろう。

それにしても,マオイストは,少々早まったと内心忸怩たる思いではないだろうか。人民解放軍を残しておけば,現状は,権力を奪取し,人民民主主義=人民独裁=マオイスト支配を確立する絶好のチャンスだったはずなのに。

あるいは,逆に言えば,人民解放軍解体により当面の危険が遠のいたので,諸政党に無為無策・無政府状態転落の余裕が生じたといった方が正確かもしれない。

いずれにせよ,苦し紛れの要綱骨格憲法の制定は,その場しのぎで,問題の先送りにしかならないだろう。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/05/25 @ 19:46

カテゴリー: 議会, 司法, 憲法

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