IC免許証と住基カード
運転免許証がハイテクIC化され便利になったおかげで,本人証明(アイデンティティ証明)が,いたるところで免許証に移行し始めた。この流れはもはや止められないだろう。
たとえば,たまたま目にしたのだが,大田区の住基カード申請。申請と受取のときの本人確認のため,免許証提示が必要だ。もちろん,パスポート,健康保険証,年金手帳などでもよいのだが,パスポートは滅多に使わないし,そもそも住所記載はない。とくに受取時には免許証がないと実際上,困ることになる。次のように説明されている。
「本人が、次に掲げるいずれかの本人確認書類をお持ちの場合、それに加えてもう1点、健康保険証や年金手帳等をお持ちいただき、区役所本庁舎1階北側10番窓口で申請しますと、即日で住民基本台帳カードを受け取る事が可能です。
・運転免許証
・パスポート
・身体障害者手帳
・療育手帳
・精神障がい者保健福祉手帳
(注1)略
(注2)ICチップ型運転免許証の場合は、運転免許証の交付時に設定した暗証番号(数字8桁)を入力していただきます。暗証番号が不明な場合はあらかじめ警察署で確認してからお越しください。」(大田区役所HP)
大部分の住民にとって,住基カード即日受取には,免許証と8桁の暗証番号が必要なのだ。
いまやお役所は,本人確認は面倒なので,予算潤沢な警察に丸投げし始めたらしい。そして警察の方も,これを好機と捉え,IC免許証は身分証明に便利だと宣伝し,あるいはウワサでは,免許証を返上しようとする高齢者に対してすら更新し身分証明用に持ち続けたらよいと勧めているそうだ。
これは,警察が個人情報収集の中核となるということではないだろうか? グーグルが様々なネットサービスを統合し集中管理し始めたのと同じようなことを,警察もIC免許証でひそかにやろうとしているのではないか?
そうなれば,たしかに便利ではある。IC免許証1枚で買い物ができ,ATMが使え,電車に乗れ,コンサートチケットが予約でき,・・・・そして,車も運転できる。そうなれば,住基カードなど不要だ。
IC免許証と8桁暗証番号さえあれば,何でもできる。そんな便利な素晴らしき新世界がまもなく実現するかもしれない。IC免許証は,まさしくIdentity-Card免許証なのだ。
谷川昌幸(C)