ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

大統領か首相か?

Yubaraj Ghimire, “President vs Prime Minister”(Indian Express,30 Jun)によれば,ヤダブ大統領とバブラム・バタライ首相の対立が激化し,ネパール政治の先行きがますます怪しくなってきた。

バブラム首相にとって,第一の関門は,まもなく始まる新年度のための予算策定。首相は1年間の本格予算を目論んでいるが,大統領は3ヶ月の暫定予算とせよと要求している。議会はなく,また諸政党の合意もない現状では,これは大統領の方に理がある。予算が組めなければ,首相は窮地に陥る。

第二の関門は,11月22日予定の総選挙。選挙管理委員の任期は10月までだが,議会はないので新委員の選任はできない。現状では,総選挙はできないということらしい。

この体制危機に対し,コングレスは議会の復活を要求し,マオイストのプラチャンダ議長もこれを支持しているが,しかし制憲議会は無能とされまったく人気がない。復活は無理だという。

また大統領は,首相が辞任し挙国政府をつくるべきだとも主張するが,首相は,もしいま辞職すれば,2005年2月1日(ギャネンドラ国王親政開始)に戻ることになる,と反論する。たしかに,ギャネンドラ元国王はこのところあちこちでプジャをするなど,なかなかお元気だ。首相の危惧することも分からないではない。

結局,どうしたらよいのか? 選挙で選ばれた正統性の源泉たる議会が何も決めないまま消えてしまったため,誰にも確たる正統性はなく,ときとともに混迷は深まるばかりだ。とりあえずは,予算がどうなるか,注視していたい。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/07/03 @ 20:33

カテゴリー: 議会, 政党

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