ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

崖っぷちの暫定予算と雲上の恋

マオイスト政府にとって,直近の難関は新年度(2012-2013)予算。カネがないと,何もできない。

バブラム首相は,もちろん本格予算を組みたいところだが,そんなことをさせると議会なし首相の正統性を認めることになるので,野党は絶対反対だ。しかし,さりとてカネがないと困るのはNC,UMLも同じことだから,ここは妥協し,4ヶ月の暫定予算とすることに,ほぼ固まった。

バブラム内閣が政令により暫定予算を組み,大統領が認証すれば,めでたく総選挙の頃まで,カネは使える。

しかし,これで当面カネは何とかなるとしても,もくろみ通り11月22日に総選挙が実施できるかというと,これは怪しい。

総選挙実施には,最高裁命令により,暫定憲法の改正と関連法令の制定が必要だ。選管によれば,4ヶ月前の7月22日にはこれらが完了していないと,11月総選挙には間に合わないという。しかし,議会もないのに,どのようにして暫定憲法を改正するのだろう? ほとんどは政令でごまかすとしても,憲法改正は難しい。

このところマオイストは,バイダ派との対立抗争に苦しみ,結局,バイダ派は分離独立し,マオイスト政権は弱体化した。その最中,プラチャンダ議長のご令息は,議長の提唱した「ルンビニ=エベレスト平和行進2012」 に参加し,こともあろうにバイダ派同志を夫とする女性と「雲上の恋」に陥ってしまった。政敵の妻たる女性との恋。どうにもならなくなって,結局,二人は駆け落ちしてしまった。敵対的党派関係の生みだした悲劇の要素もなくはないが,いかんせんご両人は,ロミオとジュリエットの純愛とはほど遠い不倫同士,いまいち世間の同情は呼びにくい。弱り目に祟り目だ。

どん詰まり。こんな状況では,王制復古も考えられないではない。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/07/10 @ 19:17

カテゴリー: マオイスト, 議会

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