ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

マオイスト中央委解散,全党大会開催へ

マオイストは,第7回中央執行委員会において,全党大会を2013年2月中旬に開催することを決定した。現在の中央執行委員会は解散し,全党大会組織委員会が大会を準備する。

しかし,なぜいま解散なのか? マオイストは制憲議会選挙を最重要課題とし,選挙日は11月22日に予定されている。本来なら,中央執行委員会解散の余裕はないはずなのに,あえていま解散せざるを得なかったのは,おそらく党指導部批判が高まり,ガス抜きが避けられなくなったからであろう。

マオイスト党員の間では,革命食い逃げに余念のない幹部たちへの批判が高まってきた。いまやマオイストは最も豊かな金満政党であり,幹部たちは役得の積み上げに余念がない。

筆頭は,もちろんプラチャンダ議長。王様サイズ寝台に始まり,海外豪遊,豪邸(月10万ルピー),トヨタSUVなど,黄金まみれだ。

私自身は,プラチャンダはネアカ豪傑で嫌みがなく,まぁいいんじゃない,と思うが,上前をはねられた党員たちは,そう寛容にはなれなかったらしい。ケシカラン,自己批判せよ,ということになり,プラチャンダは,豪邸とトヨタSUVを返却し,他の個人財産も党に寄付することにした。えらい! さすがわれらがプラチャンダだ。

それではと,バブラム・バタライとNK・シュレスタ両副議長もプラチャンダに習い同じようにすることになったが,こちらは二番煎じ,かっこよくない。

しかし,よく考えると,党はプラチャンダのものだから,個人財産を党に寄付しても,自分への寄付であり,どうということはない。両副議長にしても同じようなことだろう。

これはしかし,問題の本質ではない。マオイストにとって,本当の問題は,議長・副議長らよりも,むしろ制憲議会議員や人民解放軍中間幹部らの役得にある。役得で甘い汁を吸い,平党員や兵卒の上前をはね,さんざん搾取した彼らの不当利得には,おそらく手はつけられないだろう。たとえプラチャンダ,バブラムらが失脚するとしても,マオイストの腐敗・搾取構造は不変だ。首のすげ替えに過ぎない。

マオイストは大政党だから,他の大きな組織と同じく,リーダーにはカリスマが不可欠だ。カリスマの基礎は実力だが,それだけでは弱い。実力には華やかな飾りがいる。

王様サイズ寝台も10万ルピー豪邸もトヨタSUVも,あるいは海外豪遊も,そうしたカリスマの飾りだ。いいではないか,その程度のこと。そのくらいのことでカリスマが引き立ち,統治がうまくいくのなら,安いものだ。

本当の問題は,そこにではなく,むしろ量的には搾取の圧倒的部分を占める中間幹部層の腐敗にある。これが組織を幹から腐らせている。マオイスト組織の官僚制をどう合理化していくか,マオイストの党としての課題はここにある。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/07/24 @ 20:28