ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

マオイスト、多民族連邦制へ

プラチャンダUCPN議長が、YCL集会において、単民族(single identity)連邦制ではなく多民族(multi-identity)連邦制を採る方針を明らかにした(Nepali Times, 29 Jul)。

バイダCPN-M議長――UCPNから分離独立――が、訪問先の中国で、中国高官らに連邦制は危険だと警告されたことを受けた発言であろう。やはり中国はプラチャンダ議長の味方らしい。

そもそも、各帰属集団アイデンティティごとに、あるいは各民族ごとに、自治州を作り自決権を与える、という民族連邦制が無茶苦茶。そんなことはできるはずがない。

むろん、被抑圧カースト/民族にとって、自治権/自決権の要求は切実であり、その強硬な要求によって初めて一定の集団的権利が獲得できたことは事実である。これは正当に評価しなければならない。しかし、だからといって、帰属集団アイデンティティごとに州を作るとか、政治的・社会的権利を認めるといったことそれ自体は、非現実的であり危険である。特に問題となるのがタライ。

プラチャンダ議長が多民族連邦制の方針を示したことで、制憲議会選挙のためのNC,UMLとの妥協がなるかもしれないが、一方、タライがこれに反発するのは明白であり、対立の構図が「タライ+ジャナジャーティ(タライ諸党+CPN-M)」vs「体制派(UCP+NC+UML)」へと大きく変化するかもしれない。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/07/31 @ 10:33