ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

中国輸出攻勢:ダムから中国語まで

1.西セティ水力発電事業
ネパール政府は8月7日,西セティ水力発電事業(WSHEP)を中国企業のCWI(旧CTGI,三峡公司傘下)に発注する方針を固め,22名の交渉使節団を中国に派遣した。

WSHEPは,発電量75MW,事業費16億ドル。事業配分は中国75%,ネパール25%。

ダムは,セティ川に建設され,広大な自然と多くの住民に大きな影響を与える。しかし,自然や住民の保護など,マオイスト政府は気にもかけない。なぜなら,マオイストは人民の党だから。そして中国も,大帝国だから,チマチマした地域住民や自然のことなど,眼中にはない。

また欧米の自然保護団体や動物愛護団体は,串本くんだりまで来たり動物供犠に反対したりはしても,WSHEPには反対しないだろう。あるいは,欧米のネパール先住民支援団体も,事業被害が予想される住民の支援には来ないだろう。中国は大帝国だから。

かくして,中国マオイストは,ネパール・マオイストと手を組み,インドの川上に巨大ダムを建設し,確固たる橋頭堡を築くことになる。
  (参照)西セティ水力発電事業

 ダム建設予定地(renewbl.com)

2.中国語授業支援
中国は,文化の中心だから,当然,中国語・中国文化の拡大にも熱心だ。中国大使館は,中国文化祭などを盛んに開催しているし,学校での中国語授業についても8年前に文部省から正式許可を得て,クラスの拡大に努力している(Republica, 5 Aug)。

親たちも,中国の興隆を見て,子供に中国語を学ばせようとし,学校に中国語授業の開設を要求している。いまでは,カトマンズ盆地地区で約60校が中国語授業を行っており,なかには12学年までのコースを置く学校もある。この中国語熱は,地方にも拡大している。
3.辺境国・日本の悲哀
中国政府が偉いのは,こうした中国語学習を,大使館を通して全面的に支援していることだ。文化輸出を外交の基礎としてきちんと位置づけている。その辺が,目先の小利しか追えない辺境の小国・日本との決定的な違いだ。中国は,英帝国や米帝国の仲間だ。日本は到底及びもつかない。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/08/08 @ 15:29

カテゴリー: インド, 経済, 外交, 中国

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