ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

プラチャンダ,「連邦民主共和国同盟」結成

プラチャンダUCPN議長が,13日,26政党からなる「連邦民主共和国同盟」を結成し,自ら指導することになった。目的は,「アイデンティティ(帰属集団に基づく)連邦制の新憲法」をつくること。(Republica, 14 Aug)

参加したのは,タライ-マデシ民主党(TMDP),マデシ権利フォーラム-民主派(MPRF-D),社会主義人民党,ダリット・ジャナジャーティ党,サドバーバナ党,連邦サドバーバナ党など。また,市民社会からは,民族問題の権威で政治学者のKrishna Hachhethu氏も参加するという。

26政党とは豪勢だが,どこまで本気なのか? 発表を見る限り,「同盟」はアイデンティティ政治原理主義だ。帰属集団を基礎にして州を区画し,それらを連邦国家に組織するという。

しかし,このようなアイデンティティ政治原理主義だと,分離したCPN-M(バイダ議長)と何ら変わらなくなる。民族連邦制を唱えることで,離反しつつある被差別諸集団――被差別カースト・民族・女性・地域など――を,UCPN支持に引き戻すのが狙いと思われる。バイダCPN-M議長を干し上げるのが狙いだ。

その一方,プラチャンダ議長がアイデンティティ政治に回帰すると,それに反対するコングレス党(NC)や統一共産党(UML)との対立が深まり,三大勢力の合意による挙国政府の形成は困難となる。そうなれば,制憲議会選挙であれ,それにかわる制憲議会復活であれ,ますます遠のく。

これはバブラム首相の延命にはなるが,現在のような無議会政治がそういつまで続くわけがない。そろそろ,宗主国インドの出番か?

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/08/15 @ 14:03