ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

カオス後見人としての援助機関

途上国援助は,功罪両面があり,難しい。以下に紹介するのは,厳しく批判しているA.シュリバスタバ氏の記事。

▼ Arun Shrivastava,Towards a “Colored Revolution” in Nepal?: Foreign Interference Triggers Political Chaos,Global Research,October 11, 2012

[以下引用]
INGO,NGO,USAID,フォード基金,DFID(英国国際開発省),ジョージ・ソロス系人権諸組織,そして国連諸機関は,「カオス後見人」である。彼らの活動地ではどこでも,標的とされた国家は統治不能とされる。これは秘密でも何でもない。ネパールがまさにその実例だ。

ネパールの人々は,ネパールで活動する国際NGOや国際援助団体・国際人権組織はすべて次の6つのことを目標としている,ということを忘れてはならない。

(1)最有力な宗教の信用を失墜させ,最終的には破壊すること。

(2)キリスト教原理主義信仰を強化すること。ヒンドゥー寺院攻撃,NEFIN幹部たちの非礼なヒンドゥー教侮蔑発言,キリスト教原理主義者の資金援助でJoshua Projectが作成したデータベースと地図,これらはすべて次の決定的な第3の目標の達成を目指している。
 [(注) NEFIN: Nepal Federation of Indigenous Nationalities, ネパール少数民族連合,1991年設立,48民族協会が参加。Joshua Project: ヨシュア・プロジェクト,1995年発足,米国キリスト教世界ミッション部局,少数民族の調査支援組織。]

(3)民族(エスニシティ)/カーストの対立を煽動し,国民アイデンティティや国民の威信を破壊すること。

(4)策謀により危機を次々とつくり出した上で,自らを「危機管理者」として売り込むことによって,あるいは危機状況を放任することによってさえ,人民とその指導者たちによる自分自身の事柄の決定を妨害すること。10年間の内戦と,4年間に及ぶ新憲法制定過程の混乱とその結果としての失敗は,その明白な実例である。

(5)ヒマラヤは傷つきやすいものであるにもかかわらず,そこで略奪的・環境破壊的な資本主義を促進すること。これは,共同の資源管理と平等の利益分有を目的とする「伝統的な文化社会制度」を掘り崩し,弱体化させるものである。

(6)ネパールの政府と治安組織の中に深く浸透し転覆させること。
「以上引用」

シュリバスタバ氏の記事はかなりの極論であり,先に参照したもの(米軍「部隊」ムスタン派遣と「蓮の葉」作戦)と同様,裏付けが十分とはいえない。

しかしながら,ここで批判されていることは,実感としてはよくわかる。おそらくこれが,援助を受ける側のネパールの,もう一つの本音であろう。途上国,特に多民族社会との付き合いは難しい。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/10/16 @ 11:49