ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

ゴシップで売る朝日と佐野眞一氏の名前

1.「ハシシタ 奴の本性」の販促効果
今日,近所の小さな書店に行ったら,『週刊朝日』11月2日号が山積みされていて,けっこう売れていた。先週号に続き,「ハシシタ,奴の本性」の販促効果だ。

スキャンダルを暴露し,あるいは自らゴシップの種となり,売上増を狙うのは,週刊誌の常套手段だが,まさか朝日までもがその手を疑われる事態になろうとは想像もしなかった。

たしかに朝日は,本体の朝日新聞にしても,特に地方では販売が厳しいらしく,以前なら考えられないような怪しげな広告を掲載するようになっている。デジタル版も,有料購読者はおそらく期待以下であり,経営の足しにはなるまい。貧すれば鈍するだ。

「ハシシタ 奴の本性」が,意図的なゴッシプ販促狙いと疑わざるをえないのは,多くの識者が指摘しているように,このような低俗な見出しや品性下劣な文章が厳格をもって知られる朝日の記事チェックをやすやすと通ってしまったのが,あまりにも不自然だからだ。

私のようなジャーナリズム素人が見ても,これはマズイ,こんな人権侵害の反社会的記事は大幅修正か掲載中止とすべきだ,と反射的に感じたほどだ。

そんなひどい記事を朝日が掲載したのは,どう考えても,意図的としか思われない。朝日は,おそらくゴシップで売るきわもの経営に方向転換したのだろう。


 ■ゴシップとハウツーに向かう『週刊朝日』(11月2日号)。他に「自分の女性器,見たことある?」(62頁)など。

2.編集長の編集・掲載責任
『週刊朝日』11月2日号には,川畠大四編集長「おわびします」(18-19頁)が掲載されている。要点は,次の4つ。

(1)編集部がノンフィクション作家・佐野眞一氏に執筆を依頼したこと。
(2)不適切な表現があり,人権に著しく配慮を欠くものであったこと。
(3)編集・掲載責任は編集部にあること。
(4)この記事の企画立案・記事作成について,徹底的に検証すること。

3.執筆者としての佐野眞一氏
朝日が編集・掲載責任を明確にし,検証を進めるということなので,記事執筆者である「はず」の佐野眞一氏の作家としての責任も自ずと明らかとなるであろう。

しかし,それはそれ。私たちが知りたいのは,なぜ佐野氏ともあろう方が,このような文章を書かれ掲載を承認されたのか,ということだ。まさか,ゴシップで売ろうとする朝日に名前を利用されただけ,ということはあるまい。

そもそも,名前は単なる記号ではない。人の本質は,DNAや血脈にあるのではなく,名前にある。名前こそが自分の人格であり自分自身である。佐野氏の名前を冠した文章,「ハシシタ 奴の本性」は,佐野氏の人格の外化であり文章化である。川畠編集長も,「佐野眞一氏に執筆を依頼しました」(18頁)と明言している。

もしそうであるなら,執筆の目的や連載中止の理由を説明する責任は,編集部以上に佐野氏自身の方にある。にもかかわらず,「すべての対応は『週刊朝日』側に任せています」(朝日新聞11月20日)で済ますことは,作家としての沽券に関わることではあるまいか。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/10/23 @ 19:07

カテゴリー: 文化, 人権

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